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「リアリティ番組のリスク高い」BPOが警鐘、木村花さん“テラハ”で放送倫理上の問題。人権侵害は認めず

この日発表された見解で、BPOは、「フジテレビにおいては、全体として、問題の深刻さの認識に甘さがあったことは否定できない」と強く批判。「リアリティ番組の制作・放送を行うに当たっての体制の問題」があったと指摘した。

人気リアリティ番組「テラスハウス」に出演し、番組上のあるシーンを機にネット上で多くの誹謗中傷を浴びたのち、命を絶ったプロレスラーの木村花さん(当時22)。

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は3月30日、フジテレビに対し、「出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で、放送倫理上の問題があった」とする見解を発表した。

見解では、リアリティ番組では、SNSなどにおける誹謗中傷のリスクがフィクションなどに比べて「格段に高い」とも指摘した。

Etsuo Hara / Getty Images

木村花さんが出演していた「テラスハウス」は、男女が同じシェアハウスで暮らす様子を撮影したフジテレビの人気リアリティ番組。「台本がない」ことをうたっている。特に若年層に人気が高く、Netflixを通じて世界190か国にも配信されていた。

ネット上での誹謗中傷が一気に花さんにぶつけられるきっかけになったのが、3月に配信されたエピソード内の「コスチューム事件」だった。

出演者の男性が誤って花さんのプロレス用のコスチュームを洗濯・乾燥して縮ませてしまったことで、花さんが男性に激怒。帽子をはたき落とすという「事件」は、SNS上でも大きく話題を呼び、ネットニュースなどにも相次いでまとめられた。

番組中の花さんを「悪役」に見立てたネット上の誹謗中傷は一気に加速。花さんは精神的に不安定となり、リストカットをするほど追い込まれるようになっていた。

花さんは亡くなる直前、Twitterに、「毎日100件近く率直な意見」が送られているとして、こう書き記していた。

「傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思っていました」

「お母さん産んでくれてありがとう。愛されたかった人生でした。 側で支えてくれたみんなありがとう。 大好きです。弱い私でごめんなさい」

リアリティ番組への警鐘

Saori Ibuki / BuzzFeed

花さんの母親・響子さんは「花が暴力的な女性のように演出・編集された」などとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)に真理を申し立てをしていた。

この日発表された見解で、BPOは、「フジテレビにおいては、全体として、問題の深刻さの認識に甘さがあったことは否定できない」と強く批判。「リアリティ番組の制作・放送を行うに当たっての体制の問題」があったと指摘した。

リアリティ番組の危険性については、「視聴者の共感や反発は生身の出演者自身に向かうことになる」「誹謗中傷によって精神的負担を負うリスクは、フィクションの場合よりも格段に高いと言わなければならない」として、以下の通りに言及している。


リアリティ番組には、出演者のありのままの言動や感情を提示し、共感や反発を呼ぶことによって視聴者の関心を引きつける側面がある。

もっとも、実際には演出上の指示・要請や、本人の番組企画への過剰な同調によって、真意に基づく言動とは異なる姿が視聴者に示されることもある。

しかし、ドラマなどのフィクションとは違い、真意に基づく言動とは異なる姿に対するものも含め、視聴者の共感や反発は、役柄として作られた登場人物にではなく、生身の出演者自身に向かうことになる

このように、リアリティ番組への登場人物に対する毀誉褒貶を、出演者自身が直接引き受けなければならない構造があるといえる。

そして、SNSが広く普及した今日においては、出演者の言動や容姿、性格等についてあれこれコメントを共有することが視聴者にとってのリアリティ番組の楽しみ方となっていることは明らかである。

本件番組のようにスタジオトークや副音声でタレントがこうした談義に参加していることは、上記のような視聴方法を助長するが、そこに許容限度を超えた誹謗中傷が含まれうることも否定できない

出演者自身が毀誉褒貶を直接引き受けなければならない前述のような構造の中で、リアリティ番組の出演者自身が誹謗中傷によって精神的負担を負うリスクは、フィクションの場合よりも格段に高いと言わなければならない。


「悲劇が二度と起こらないよう」

Kota Hatachi / BuzzFeed

一方で、認められなかったポイントもある。

まず、人権侵害については、花さんの自傷行為後にフジテレビ側が一定のケア対応をしていることなどから、認められない、とした。

また、「同意書兼誓約書の下で煽りや指示があった」と自己決定権の侵害を主張していた点についても、「制作スタッフからの強い影響力が及んでいたことは想像に難くない」としながら、自由意志が奪われているようなケースであったとはいえないとして、認めなかった。

さらに、「視聴者の感情を刺激するような過剰な編集、演出を行ったことによる問題がある」と主張していた点についても、「少なくとも相当程度には真意が表現されたものと理解でき、放送倫理上の問題があるとは言えない」とする結論を下した。プライバシー侵害についても同様だった。

そのうえでBPOの報告書では、フジテレビに再発防止を求めるとともに、「放送界全体」に対しても、「悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する」と結んでいる。

花さんに対する誹謗中傷をめぐっては、警視庁が昨年12月、大阪府の男を侮辱容疑で書類送検した。

また、響子さんはSNSの投稿者の男性を相手取って損害賠償を求める裁判を始めたほか、そのほかの誹謗中傷についても、並行して発信者情報の開示請求などを続けている。


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