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オスプレイの事故率は平均以下ではなかった 上昇を把握していた防衛省、新しい数字は開示せず

掲載されている数字は「1.93」。政府がMV-22の安全性の根拠のひとつにしていたものだ。

沖縄で12月13日未明に起きた、オスプレイの事故。1週間ほど経った19日、早くも飛行が再開した。

時事通信

沖縄の海兵隊はプレスリリースで、在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官のコメント(原文)を発表した。

「日本国民にとって、私たちがMV-22の安全性と信頼性に対する最大限の確信(confidence)を共有し、理解してもらうこと(understand)は大切なことだ」

米軍は機体の安全性を強調するが、大破した機体の回収はまだ終っていない。日米地位協定に基づく海上保安庁の捜査協力にも応じていない。

そんな中での決定。米軍や再開を容認した日本政府に対し、「原因究明は進んでいない」「早すぎる」などの大きな反発が生まれている。

今回、事故が起きて改めて注目を浴びたのが、オスプレイの「クラスA事故率」だ。

時事通信

クラスA事故率とは、「10万飛行時間あたり」の「被害総額が200万ドルを超えるや死者を出した」割合を示す数値だ。今回の事故もクラスAに該当する。

防衛省が作成した資料では「海兵隊は、事故率を航空機の機体の安全記録を代表する指標として重視」と紹介している。

米軍がオスプレイを普天間基地に配備するとき、日本政府は「1.93」(2003〜2012年)という数字を示し、安全性の根拠のひとつとしてきた。

米海兵隊が持つ航空機全体の平均「2.45」(同)よりも低いことが、その理由だった。

オスプレイの事故率は現在、上昇している。防衛省はBuzzFeed Newsの取材に、「政府の把握している」最新の数字が、2015年9月末時点の「2.64」であると説明した。

防衛省によると、オスプレイの事故率の推移は以下の通り。

* 12年4月末:1.93

* 12年9月末:1.65

* 13年9月末:2.61

* 14年9月末:2.12

* 15年9月末:2.64

米海軍安全センターによると、米海兵隊全体の平均値は2.63だ(02〜16年12月9日)。

この事故率の上昇に関しては、毎日新聞が「事故率2.64に上昇 15年9月時点」と、時事通信が「オスプレイ、事故率上昇=操縦難しさ指摘も」などと報じた。朝日新聞も記事内で触れている。

この最新の数字は、防衛省のホームページ「オスプレイについて」に出ていない。

防衛省 / Via mod.go.jp

サイト内には「MV-22オスプレイ 事故率について」というパワーポイントや資料が用意されているが、2012年9月の資料で、数字は「1.93」だ。

オスプレイの事故率がすぐにわかる、日本政府の公式ソースはこのページだけだ。google検索でも公のサイトとしては一番上に出る。

実際、この数字を「事故率の低さ」の根拠や、「日本政府(防衛省)の数字」として引用する人たちは多い。

BuzzFeed Newsも、事故当日に出した記事「沖縄オスプレイ事故、なぜ墜落ではなく『不時着』と報道? 防衛省に聞いた」では当初、「防衛省の資料によると」という書き方で「1.93」を引用していた。

なぜ、防衛省は把握していた新しい事故率を開示していなかったのだろうか。

防衛省

BuzzFeed Newsは防衛省に、サイト上に2012年のデータしかない理由と、最新データが掲載されていない理由を聞いた。

防衛省はまず、事故率について、「安全記録のひとつの指標として使用されているが、機体以外の要因(整備ミスや操作ミス等)で発生する事故もある」と説明。

そのため、「事故率のみをもって機体の安全性を評価することは適当ではなく、あくまで目安のひとつとして考えるべき」とした。

パワーポイント資料が古いデータであることへの回答は、こうだ。

「指摘の資料については平成24年9月の普天間飛行場への米海兵隊MV-22の配備に際し、事故率について、様々な数字が報道され、MV-22の事故率がほかの航空機と比較して高いのではないかとの疑念が生じていたため、事故率の考え方と当時の最新の数字の整理を行ったうえで、 当省ホームページに掲載したものである」

しかしこれでは、現在の最新データを開示していない理由にはならないのではないか。

改めてそう問うと、30分ほどして、再び連絡があった。この文章を、先ほどの文章につなげたものが回答だという。

「したがって、当該資料の情報を更新したものをホームページに掲載する予定はない」

2012年に「1.93」のデータを載せた理由は、新しい数値を載せていないことの説明にはならないだろう。少なくとも把握しているデータがあるのならば、それを掲載しない理由はないはずだ。

事故で大破したオスプレイと同型機のMV-22に関しては、陸上自衛隊が2018年度までに順次導入することが決まっている。政府は計17機を、アメリカから購入する予定だ。

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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