「Yes We Did!」と叫んだオバマ大統領が残した「レガシー」 ラストスピーチで振り返った8年間

    最後の演説からまとめました。

    オバマ米大統領が1月11日(日本時間)、最後の演説をした。

    「Yes We Can! (私たちはできる!)」 「Yes We Did!(私たちは成し遂げた!)」 こう締めくくられたスピーチ。涙を流した人も多かった。

    “Yes We Can. Yes We Did. Yes We Can. Thank you.” —@POTUS #ObamaFarewell

    オバマ大統領は8年の任期中、どんなことを成し遂げたのか。演説の中で自らが振り返った「レガシー(遺産)」をまとめた。

    景気の改善

    オバマ氏がまず挙げたのは、景気対策。「自動車産業の復活させ、米国史上最長となる雇用創出を続けている」ことだ。

    リーマンショック直後に就任したオバマ氏は、約90兆円にのぼる財政出動やGMの一時国有化をし、経済の立て直しをはかった。

    演説の中盤では、こうも強調した。

    「いま、経済は再び成長しているのです。賃金に所得、住宅価格、さらには退職積立金が、再び上昇しているのです。一方で貧困率は、再び下がっています」

    「株価が記録を更新していても、富裕層は税金を公平に支払い、かたや失業率はおよそ10年ぶりに低い水準となりました。私たちは、人々がより良い生活を送れるようにするために、このようなことをしてきたのです。悪い生活ではなく」

    ただ、このように自ら施策が「十分ではなかった」とも指摘している。

    「上位1%の人たちが多くの富や収入を抱える一方で、都心部や農村部の多くの家族が置き去りにされています。月々の支払いに困窮している、レイオフされた工場労働者や、ウエイトレスや医療従事者たちです」

    キューバ国交再開、イラン核合意、ビン・ラディン殺害

    同性婚の合憲判決を支持

    オバマケア(医療保険制度改革)

    「健康保険に入っていなかった2千万の人々が、保健を受ける権利を確立」したとして、「オバマケア」とも言われる医療保険制度改革の成果を強調した。

    アメリカには、国民皆保険制度がない。「オバマケア」は無保険ゆえに適切な医療を受けられない貧困層などの人たちに向け、最低限の保険加入を義務付ける制度だ。2010年に関連法が成立し、14年からスタートした。

    自らのレガシーを列挙したオバマ氏は、こう言った。「これを、私たちは成し遂げた。これらを、あなたが成し遂げた。あなたがチェンジを作り出した」

    その後の演説にも、自らの「レガシー」を挟み込んだ。たとえば、「温暖化対策」についてはこうだ。

    「気候変動に対しては、挑戦しなければいけません。この8年間で私たちは海外の石油への依存度を半減させ、再生可能エネルギーへの依存度を倍増させました。そして、この惑星を守るための合意(パリ協定)の牽引役となったのです」

    「私たちはこの問題に対して、ベストな選択をするための議論をすべきなのです。この問題を単純に否定することは、未来の子ども達を裏切ることにもつながります」

    オバマ氏はさらに、自らの価値観を改めて示している。

    トランプ次期大統領は、オバマ氏の政策の多くを批判している。オバマ氏の「レガシー」はどうなるのか。先行きは見えていない。