「歯磨き粉を絞っておいておくと蚊がくっつく」とする“蚊の対処法”がTwitter上で20万以上いいねされるなど、拡散している。
しかし、これは根拠不明の情報だ。専門家らも科学的根拠に疑問符を投げかけている。
なお、画像の出典は韓国のコミュニティサイトと見られるが、現地でも専門家への取材などで否定されている。
Twitter上で拡がっているのは、「これはいい情報」として広がったInstagramのスクリーンショット。5月29日のもので、20万以上いいねされるなど拡散している。
歯磨き粉に蚊が止まっている写真とともに、「蚊の対処法」という言葉と以下のような説明が記載されていた。
「歯磨き粉を絞っておけば自らくっつきます。前これ聞いてよく使う方法ですが、いつも捕まえてるからおすすめです。寝る前に絞っておいて寝ればいいだけなんですごく簡単」
この画像の出典はどこか。BuzzFeed Newsが調べたところ、2019年10月には韓国のコミュニティサイトに体験談として投稿されていたことが確認できた。当時は韓国のSNS上でも話題を呼び、議論を巻き起こしたようだ。
一部の歯磨き粉に含まれる「酸化チタン」が蚊を誘因する要素になっているとする情報も流れたが、その後、韓国メディアSBSの取材などによって否定されている。
日本の専門家と製薬会社は…？
韓国で数年前に広がった画像が、日本で再拡散した今回の事案。国内の専門家や製薬会社はどう見ているのか。
殺虫剤や害虫などにくわしい日本環境衛生センターの橋本知幸さん（日本衛生動物学会殺虫剤研究班委員長）はBuzzFeed Newsの取材に「歯磨き粉による対処法は初めて聞いた」と語る。
「学会などで発表を見たことがないし、聞いたことがない。蚊の成虫を飼育するときにシロップをあげることもあるため、歯磨き粉の匂いを勘違いすることがありえるかもしれないが、エビデンスもなく、どちらかというと考えにくいのではないでしょうか」
BuzzFeed Newsは、殺虫剤メーカーであり、開発・研究のため害虫も飼育しているアース製薬にも取材した。
同社の歯磨き粉には韓国でも誘因要素と噂になり否定もされた「酸化チタン」が含まれているものもあり、その点もあわせて質問したところ、以下のように回答があった。
「アース製薬の歯磨き粉及びオーラルケア製品に使用している成分では、蚊を誘引するという科学的根拠はなく、蚊を殺虫する成分は含まれていません。歯磨き粉で蚊の誘引・殺虫が出来るということに科学的根拠はないため、蚊の対策には専用の虫ケア用品（殺虫剤）を使っていただくことを推奨します」
身近な害虫である蚊だが、媒介する感染症もある。根拠のない対処法には注意が必要だ。
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