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森会長を批判しているけど… マスコミも、女性が少なすぎませんか?

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏(83)の女性差別発言に批判が集まる一方、マスコミ業界における女性比率の少なさが問題視されている。「メディアが女性蔑視に無自覚ではいけない」との危機感も聞こえてきた。

民放、新聞、出版などマスメディア各社の労働組合でつくる連合会などは2月9日までに、女性役員を増やすよう各業界団体に提言した。

各団体の女性役員の人数は0〜2人にすぎず、ほとんどが男性だ。在京テレビ局の番組制作部門のトップに女性はゼロ、新聞38社の会社法上の役員数は全体319人中10人と極めて少ない。

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏(83)の女性差別発言に批判が集まるなか、提言にかかわるメンバーからは「メディアが女性蔑視に無自覚ではいけない」との危機感も聞こえてきた。

発表(数字は昨年度)によると、日本新聞労働組合連合(新聞労連)に加盟する各社(回答41社)では、女性従業員は19.92%に対し、管理職(管理的職業従事者)の割合は7.71%にすぎない。会社法上の役員では3.13%だ。

また、在京テレビ局では女性従業員の割合は24.2%、課長級以上の割合は15.1%。役員、局長の女性比率は0もしくは非常に低く、コンテンツ制作部門(報道、制作、情報制作)の局長には女性はひとりもいなかった。

一方、日本出版労働組合連合会(出版労連)の加盟各社(回答41社)は、女性従業員は36.3%と比較的高いものの、管理職(管理的職業従事者)は15.3%、会社法上の役員は8.3%だった。

さらに、各業界団体の女性役員の人数は民放連(45人)と新聞協会(53人)で0人。書籍出版協会(40人)や雑誌協会(21人)でもそれぞれ2人、1人と低迷している。

各労働組合でつくる連合会の提言では、「社会のあらゆる分野において指導的地位女性を少なくとも3割程度」にするという政府の目標(当初は2020年までだったが、30年に延期された)に触れながら、以下のように警鐘を鳴らした。

日本のメディアの業界団体では、役員における女性の割合がゼロや僅少な状態が続いています。

私たちはこの現状に強い危機感を抱いています。メディア業界には「各媒体で女性の数は増えている」「差別はなく実力があれば女性でも管理職になれるので対策は必要ない」という声が根強くありますが、このままでは改善を遅らせるだけでなく、読者・視聴者からの批判や政府からの介入を招きかねません。

メディアにとって死活問題であり、自主、自立のためにも、各団体が自主的に是正策に取り組むよう強く求めます。

メディアの「無意識」に潜む危険

提言では、現状についてまず「コンテンツ制作の意思決定者の女性登用が不十分」と指摘。

「多様で魅力的なコンテンツ制作のためには、現場の多様性が欠かせません」として、「メディアの意思決定層に女性が少ないことが、ジェンダーに偏りのある情報発信を生み、『無意識の思い込み』につながっています」と批判した。

また、「意思決定者に女性が少ない」ことについても、セクハラ問題の適切な議論などにおいて「現状では偏りのない意思決定は極めて困難」と言及。「意思決定者には、多様なバックグラウンドをもつ人材を登用し、ジェンダーバランスに配慮した偏りのない意思決定ができるようにするべき」とした。

そのうえで、(1)業界団体の女性役員比率について、数値目標や特別枠を設けてすみやかに3割以上にすること(2)ジェンダー・男女共同参画に関する常設委員会を設置すること(3)4月までに業界団体と全加盟社が目標、計画、実績を国の女性活躍推進企業データベースで公開、更新することーーを要請した。

2月9日に開かれた会見では民放労連の岸田花子・女性協議会副議長が「従業員の数と役員の数に乖離がある。作り手に多様性がないと、コンテンツにも影響してしまい、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が受け手に波及するおそれもある」と危機感をあらわにした。

新聞労連の吉永磨美・中央執行委員長は森会長の差別発言について「森元首相だけの問題ではなく、社会全体の意識が下支えとなってああいう発言が出てくるのではないか。社会のどこかにいまだ女性蔑視があり、野放しにしている状況がある。メディアはそれを無自覚に増幅するのではなく、自覚して、変えていかないといけない」と語った。

これについては「メディア側が率先して積極的な変化を見せていくことが社会を変えることにつながるのではないか」(メディアで働く女性ネットワーク世話人・松元千枝氏)との声もあがった。


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