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衆議院、開会して100秒で解散。戦後初の「沈黙の解散」に

「仕事人内閣」は、国会で何も語ることはなかった。

衆議院は9月28日午後、召集された臨時国会冒頭で解散した。安倍首相はこれを「国難突破解散」と位置づけ、消費税の使途や北朝鮮への対応などを問いたい考えだが、解散を受けた会見はしないという。

解散までの秒数は?

そもそも、臨時国会は野党が森友学園問題や加計学園問題など、山積する「疑惑」や問題に対し、憲法に基づいて開会を求めていたものだ。

3ヶ月が経ってようやく召集が決まったものの、臨時国会では何も議論する間も無く、衆議院は冒頭解散してしまった。

BuzzFeed Newsは、臨時国会が開かれていた時間を計測した。

大島理森・衆議院議長(自民)が臨時国会の開会を宣言し、議席の指定を経て、「解散詔書」を「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」と読み上げ、議員たちが「バンザイ」をするまでの秒数はーー。

わずか「103秒」だった。

戦後初の「沈黙の解散」

衆院事務局によると、過去に国会召集日に解散した例は3回しかない。


  • 1966年12月:通常国会、佐藤栄作内閣による「黒い霧解散」
  • 1986年6月:臨時国会、第二次中曽根康弘内閣による「死んだふり解散」
  • 1996年9月:臨時国会、橋本龍太郎内閣による「小選挙区解散」

過去3回の冒頭解散はいずれも新内閣発足直後ではない。それ以前の国会で首相や担当大臣による演説、質疑が行われているという。

しかし、今回は8月に「仕事人内閣」が発足したあと初めての国会にも関わらず、首相の所信表明演説も、質疑も何もないまま「103秒」で解散してしまった。

この内閣は、選挙後には総辞職することになる。改造も含む新内閣が国会で口を開かずに解散した例は、新憲法下では一度もないことだ。

これでは、「沈黙の解散」毎日新聞)ではないかーー。そんな指摘も飛び出している。

総選挙には600億円

そもそも安倍首相は、9月12日の日経新聞の単独インタビューで、解散について「まったく考えていない」と答えていた。

ただ、9月10日の麻生太郎副総理との会談で進言を受け、解散を決めたとの報道もある。今後の政治日程や支持率、さらには離党者が相次いだ民進党など野党の態勢を見ての判断、ということだ。

安倍首相は、臨時国会冒頭で解散をした点について、「内外の諸課題について総合的に判断した。憲法上の問題はない」(9月25日会見)としているが、7月の内閣支持率急落に繋がった各種疑惑の追及を避けるため、との見方もある。

いずれにしても、なぜ「まったく考えていない」はずだった解散が突如として浮上し、「国難突破解散」という名前になったのか。なぜ、任期があと1年残る今なのか。「国難」を迎えているのなら、本当に解散総選挙があって良いのか。

衆議院の総選挙には、約600億円の税金がかかるという。根本的な疑問に対する答えがないまま、総選挙が始まる。


BuzzFeed Newsでは【安倍首相が解散理由にした「国難突破」。実は戦時中の政府も使っていた】という記事も掲載しています。