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社説がなかったのは読売だけ 沖縄・県民投票の報道から見える違い

読売、朝日、毎日、産経、日経新聞の社説を比較した。

米軍普天間基地の移設に伴う辺野古埋め立ての是非を問う沖縄県の県民投票が、2月24日に投開票された。

投票は、「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択。反対が43万4273票(72.1%)。賛成派11万4933票(19%)。どちらでもないが5万2682票(8.7%)だった。

「辺野古埋め立て」に反対票が、昨年9月の知事選で玉城デニー氏が獲得した過去最多の39万6632票を超えたことになる。

玉城氏は結果を「きわめて重要な意義」とし、「民意が確実に示された」として、国に工事の中止を求めた。

翌朝の新聞各紙はどうその結果を伝えたのか。BuzzFeed Newsは、全国紙の論調を比較した。

BuzzFeed

朝日新聞:「沖縄県民投票 結果に真摯に向きあえ」

BuzzFeed

1面から大きく展開した朝日新聞。社説では、政府に対し「法的拘束力はないとはいえ、政府は今度こそ、県民の意見に真摯に耳を傾けねばならない」と訴えた。

「辺野古問題がここまでこじれた原因は、有無を言わさぬ現政権の強硬姿勢がある」と指摘。「外交・安全保障は国の専権事項」という政府の「決まり文句」についても、「ひとつの県に過重な負担を強い、異議申し立てを封殺していいはずがない」と批判した。

憲法における法の下の平等、基本的人権の尊重、地方自治の原則に触れながら、「民主主義国家において民意と乖離した外交・安保政策は成り立た」ないとしている。

そのうえで、「全国で議論が深まることに期待を寄せる」と呼びかけ、「沖縄の声をどう受けとめ、向き合うか。問われているのは、国のありようそのものだ」と結んだ。

産経新聞:「沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け」

BuzzFeed

産経も同様に1面で展開したが、朝日新聞とは正反対の論調。「投票結果は極めて残念である」とまで言い切っている。

移設を進めないと「普天間飛行場の危険性を取り除くことはできない。中国などの脅威から日本を守る、抑止力を保つことにも反する」からだ。移設断念は「沖縄県民を含む国民の安全を損なうことにつながる」としている。

そもそも、「その内容にかかわらず、民主主義をはき違えたものである」とまで批判。「外交・安全保障政策は政府の専管事項」であることから、「県民を含む国民全体の問題だ。県民の『直接の民意』だけで左右することはできない」と言い切った。

そのうえで、自主投票とした自民・公明を「腰の引けた対応」と批判。政府・与党に対し、移設を進め、その重要性を「県民に粘り強く説く責任がある」と結んだ。

読売新聞:社説なし

BuzzFeed

扱いが各紙と大きく異なるのが、読売新聞だ。1面で掲載した県民投票に関する記事は各社扱いが小さく、結果を報じるのみだった。さらに、社説もなかった。

県知事選などでは各紙と同様社説を出していたが、この日に触れたのは「天皇在位30年」「デジタル課税」のテーマだった。

2面と3面に関連記事を掲載しているが、投票率が52%だったことから「反対最多、影響は限定的」などと報じている。

そのほかも「政府は工事推進へ」「法的拘束力なし」などという言葉が目立つ。

毎日新聞:「辺野古」反対が多数 もはや埋め立てはやめよ

BuzzFeed

1面から大きく展開した毎日新聞。朝日と同様、「政府はただちに埋め立てをやめ、沖縄県と真摯に解決策を話し合うべきだ」と呼びかけた。

政府についても、これまで2度の知事選でも「辺野古ノー」の姿勢が示されていたとして、「明らかに政府は県民の理解を得る努力を怠ってきた」と批判。「国の専権事項」という主張については、「基地の立地に自治体が異議を申し立てる権利まで否定するのは暴論」と反論した。

また、仲井真弘多・元知事が当選後に移設容認に変節した経緯に触れ、「埋め立て承認は民主的な正当性を獲得していない」とも指摘。「民主主義が十分機能しないため、沖縄は繰り返し意思表示をせざるを得なくなったと考えるべき」と県側の判断に理解を寄せた。

自民・公明の自主投票については、「県民と話し合う役割を放棄した」と批判。「たび重なる民意無視は民主主義を軽んじること」として、政府に「この現実を冷静に受け入れる判断力」が求められていると結んだ。

日経新聞:辺野古打開へ国と沖縄は対話の糸口探れ

BuzzFeed

日経新聞も1面で展開したが、ほかの3紙よりは少し小さい、左側の「カタ」での掲載だ。社説では、「同じ国民同士がいがみ合ういまの状態」を打開するため、「話し合いの糸口を探るべきだ」と呼びかけている。

普天間基地の重要性や北朝鮮や中国の問題に触れつつ、「沖縄の地政学的な重要性は高まっているが、ここまでの偏在はたしかに行きすぎである」と指摘。

一方で、「緊急避難的な措置としての県内移設はやむを得まい」「白紙から検討し直すのは現実的ではない」として、基地負担が削減されている実感を「沖縄県民に与える努力」が必要と訴えた。

政府には「基地の偏在の解消に一生懸命、取り組む姿勢」が求められ、さらに「国防のための施設がもたらす負の側面にどう取り組むのかを、すべての国民が真剣に考えねばならない」と結んでいる。

Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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