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「脅迫は許されない」在日コリアン殺害宣言の年賀状、市長が非難。被害届提出へ

「川崎市ふれあい館」に届いた、在日韓国・朝鮮人の殺害を宣言する年賀状をめぐり、川崎市長が自らの見解を初めて示した。威力業務妨害に当たる可能性が高いという。国や市に対応を求めるネット署名が実施されており、モデルの水原希子さんも賛同した。

川崎市にある多文化交流施設に在日コリアンの虐殺を「宣言」する年賀状が届いた問題で、福田紀彦川崎市長は1月23日の定例会見で「こういった脅迫は決して許されるものではない」と非難した。

そのうえで、川崎市として被害届を出す方針を明らかにした。施設側への警備員の配置に向けた調整もしているという。

(*この記事にはヘイトクライムの文言が直接含まれます。閲覧にご注意ください)

1988年に市が桜本地区に設置した同館は、同区に多く暮らす在日コリアンの人たちと日本人を中心とした「市民として相互にふれあいをすすめること」を目的としている。

在日コリアンが多く暮らす桜本地区にある「川崎市ふれあい館」には1月4日までに、「謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら残酷に殺して行こう」と書かれた年賀状が届いた。

利用者からは不安の声が寄せられており、実際にその数も減少している。今年の1月4〜21日までの18日間の利用者は2315人と、前年比で843人も減。もともとの利用者数は微増傾向にあったことから、今回の「年賀状」の影響とみられているという。

施設側は警察にも相談しながら、夜間職員の増員や入り口の閉鎖、カーテンを閉めたままにするなどの対応を取っている。

指定管理者の青丘社はこれを「ヘイトクライム予告」と批判。22日には自ら被害届を出す方針を示していたが、川崎市側にも「毅然とした対応」を求めていた。

「ヘイト禁止条例」の趣旨に反する行為

今回被害を受けた「ふれあい館」のある桜本地区には、在日コリアンが多く暮らしており、これまでもたびたび、ヘイトデモの被害を受けてきた。

これは、川崎市で昨年12月に成立した「ヘイト禁止条例」の立法事実(法律や条例が必要とされることを示す事例)にもなっている。

福田市長は1月23日の定例会見で、自らも「年賀状」を確認したことを明かし、その行為を非難。市として被害届を出す方針と、施設側への警備員の配置を進めていることを明らかにした。

「こういった脅迫は決して許されるものではない。人権条例(ヘイト禁止条例)の趣旨に反する行為だと思っています」

「全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され」る共生社会を目指した「ヘイト禁止条例」は、差別的言動に刑事罰を科す、国内で初めての事例。刑事罰は、「本邦外出身者」へのヘイトスピーチなどを繰り返した人物に対する50万円以下に限定されている。

なお、被害届について福田市長は「おそらく威力業務妨害容疑になる」としており、警察と情報共有、相談をしていく方針。

当初は施設側が被害届を出そうとしていたことについては、警察側との連携のスピード感などから「行政として対応するのが適切という判断に至りました」としている。

水原希子さんも賛同、署名は8000人に

この問題をめぐっては、「Change.org」で1月21日から、国と川崎市に早急な対応を求めるネット署名が始まっている。

モデルの水原希子さんが「悪質な人種差別、在日コリアンに対してのヘイトに心が痛みます」と賛同を示すなど広がりを見せており、23日午後5時現在で約8000人の署名が集まっている。