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「私たちは、守られました」川崎でヘイト禁止条例成立、在日コリアンたちが喜びの声

戦前戦後を通じて「差別的言動に刑事罰を科す」初めての事例となる条例の制定後、これまでヘイトスピーチに対する動きを広げてきた「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」のメンバーが会見を開いた。

ヘイトスピーチなどを繰り返した人物に刑事罰を科す「ヘイト禁止条例」が、12月12日、川崎市議会で全会一致で可決した。 この条例は戦前戦後を通じて「差別的言動に刑事罰を科す」初めての事例となる。

在日コリアンが多く暮らす地域でヘイトデモが相次いで起きていた川崎で、こうした条例が成立したことに対し、当事者らは喜びを語った。

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「本当に、ほっとしました」

Kota Hatachi / BuzzFeed

条例の制定後、これまでヘイトスピーチに対する抗議運動を広げてきた「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」のメンバーが会見を開いた。

在日コリアンの「ハルモニ」(おばあちゃん)として、ヘイトスピーチに対する活動を支えてきた2世の石日分さん(88)は、こう言葉に力を込めた。

「歴史的な瞬間。いままで苦しい想いをして生きてきた私たちに対して、15年前からヘイトスピーチが川崎で集中的に起き始めました」

「差別を言われる由縁は何もなく、不安と悔しさ、憤りを抱えていましたが、この条例で守られるようになったんだな、と本当に嬉しく思っています。ヘイトを抑制するはじまりを、つくってくれた」

同じくハルモニで1世の趙良葉さん(82)さんは、「運動も一歩一歩でも重なっていくことで大きくなって、無駄ではなかったのかと、よかったねえ、ありがたいねえと思っています」と笑顔を浮かべた。

また、3世の崔江以子さんは、時折涙を流しながらこう語った。

「市が私たちを守ると宣言してくれた。本当に嬉しく思っています。ヘイトデモが私たちの町を襲ったとき、ルールがないからあのデモが来てしまったと伝えたら、桜本の子どもたちは『ないなら大人がしっかりルールをつくって守ってくれ』と言いました。4年経ってやっと、その約束を守ることができた」

「ハルモニの前で帰れ、出て行けという言葉を聞くのは本当に辛く厳しかった。条例ができて、自分たちは守られると喜んだのを聞いて、本当にほっとしました。条例ができることがゴールではない。これを通じて、差別のない社会の実現のために今日から新しい歩みが始まると思います」

「排外主義」はすぐ一掃できなくても

Kota Hatachi / BuzzFeed

また、「市民ネットワーク」の神原元弁護士はこうも語った。

「川崎市の良心を全国、世界に示した条例だと思っている。ヘイトスピーチ 、ヘイトクライムの危険が逼迫している時代でもあり、犯罪にも値するような悪質な行為であると公的機関、川崎市民が示した。市民の良心の勝利ではないでしょうか」

「中身に関しても、表現の自由にも配慮したバランスのある条例だと思っている。何人が捕まるというよりも、差別はダメなんだというメッセージを発したことが、抑止、教育効果として重要だと思っています」

ヘイトデモが相次いで起きていた桜本地区で、差別のない町づくりを進めてきた社会福祉法人青丘社理事長の裵重度(76)さんは、今後への期待感を示した。

「長い歴史のなかで、私たちは民族差別、国籍差別を数多く受けてきました。そういう差別がいけないんだと強い姿勢を示したという意味で、市の姿勢は評価できる」

「だからといって、差別意識や排外意識が日本の中からすぐ一掃されることはないかもしれませんが、この条例をきっかけに市民社会の意識の中に定着していけば、是正されていくだろうという期待感を持っています」


Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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