「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などとの発言が女性差別であると批判を集めた東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏(83)。
菅義偉首相はこの発言について、「国益にとって芳しくない」との見解を示した。2月8日の衆議院予算委員会で明らかにした。
立憲民主党・早稲田夕季議員への答弁。森会長の発言に対しては、国際的にも反発が広がっているとして、「組織委トップの女性蔑視の発言を、日本が看過するか、容認するかが問われている」として、「日本の国益にかなうか、かなわないか」と質問した。
これに対し、菅首相は「あってはならないもの」との従来のコメントを繰り返したが、再び問われたのちに「国益にとっては芳しいものではない、そう思います」と答弁。
そのうえで、「国益に沿わないという答弁でよろしいか」と問われると、「その発言はそうだったと思います」と明言した。
しかし、早稲田議員に「続投すべきか、続投して良いか」の考え方を問われても、「私自身が判断する問題じゃない。組織委員会で人事は決まる。政府から独立した法人としての判断を私は尊重する立場」と、従前のコメントを繰り返した。
また、「組織に自浄作用がない」「辞任の進言を」などと重ねて問われても、「私自身が進退について問題視すべきではない。組織の中で決定してもらう、そういう風に思います」「組織委のことでありますから」などと語るだけだった。
さらに、菅首相はIOCの声明にも言及。「IOCからも、森会長の謝罪でこの問題は終了したと考えているということも表明されたと承知している」と述べ、幕引きを図った。
早稲田議員はその後も何度か「総理しか辞意を進言できる人はいない」「組織、組織と逃げず、総理の考えを伺いたい」などと問うたが、菅首相はこう語るのみだった。
「それは組織で決めること。国が関係あるからと、私がこの人事はどうだこうだとすべきではない。組織委はルールに基づいて運営されていますので、それについて、私自身が発言する話じゃないと思います」