菅首相、学術会議問題は反発が広がると「思ってました(笑)」2ヶ月半ぶりの記者会見で

    9月の就任以来2ヶ月半にわたり会見を開いてこなかった菅首相。新型コロナウイルスの感染拡大に関する対策や、脱炭素社会などについて改めて説明をした。

    臨時国会が事実上閉幕となった12月4日、菅義偉首相が記者会見に臨んだ。

    9月の就任以来2ヶ月半にわたり会見を開いてこなかった菅首相。新型コロナウイルスの感染拡大に関する対策や、自らが掲げる脱炭素社会などについて改めて説明したが、質疑にも原稿に目を落としながら答える場面が多かった。

    また、50分ほどの長さとなった会見では、ワクチンや学術会議の質問を受けた際に「笑顔」を見せる場面もあった。

    ひとつ目は、厚生労働省が年度内の接種開始を目指しているワクチンについて、その具体的な時期をめぐる質問を受けた場面だった。

    菅首相はこれに対し、「安全性と有効性を最優先に、全額を国が負担し、直ちにワクチン接種できるように準備中」と回答。

    「政府の方から予断を持って時期を明確にするのは控えたい」としながら、自らが接種するかについては「医療関係者や高齢者など、順番をこれから決める。自分に順番が回ってきたら接種させていただきたい」と語り、笑った。菅首相は71歳だ。

    なお、新型コロナ対応についてはこれまでの対策を振り返るにとどまり、新たな対策を打ち出すことはなかった。

    もうひとつの場面は、学術会議の推薦者6人を任命拒否したことに関して、「任命見送りを判断したとき、これほどまでに反発が広がると思っていたか。アカデミズムの反発をどう捉えているか」という質問を受けた際のことだった。

    菅首相は「内閣法制局の了解を得ている政府の一貫した判断で、必ずしも推薦通りに任命しなければならないというわけではない」としながら、以下のように語った。

    「学術会議がこれで良いのかと官房長官のときから考えていた。新しい方が入れないのは現実だと思っており、私自身縦割りや既得権益、悪しき前例主義を打破したいと掲げて総裁選も当選をした。こういう中で学術会議もまた新しい方向に向かった方が良いのではないかという意味合いのなかで、自ら判断した」

    そのうえで、学術会議問題への反発の声が大きくなるかについて「私は、かなりなるんではないかというふうに思ってました」と答え、笑みをこぼした(写真上)。

    なお、学術会議の任命拒否については「説明不足」であるとほかの記者にも問われていたが、「任命権者として適切な判断」としながら、その理由は「人事についてはお答えを差し控えたい」と、これまでの主張を繰り返したのみだった。