東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーをめぐり、「一般人が撮影した動画はSNSへのアップが禁止されている」という情報がSNSで広がった。
しかし、これは「ミスリード」だ。組織委は「アップ禁止」の規定を示したのは2020年2月のことで、すでに撤回されている。拡散した記事は1年前のものだ。現在は個人がSNSに動画をアップすることに問題はない。
なお、大会会場に関しては一般人が撮影した動画はアップ禁止となる。BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。

組織委は昨年2月28日、聖火リレーの「一般人が撮影した動画を、SNSなどのインターネットに上げることを禁止」する方針を示した。
しかし国際オリンピック委員会(IOC)から間違いという指摘を受け、数日後に撤回した。
ところが、「禁止」を報じた日刊スポーツの昨年2月28日の記事(写真)が、今になって拡散。インフルエンサーを通じて広がり、多くの人が誤解したとみられる。
BuzzFeed Newsの調べでは、聖火リレーがはじまった翌日の今年3月26日から記事がTwitterで広がり始め、28日にピークを迎えた。
ツイート件数の推移などを調べることのできる「Yahoo! リアルタイム」で確認すると、30日までに1100件以上ツイートされていることがわかる。
大会会場はアップ不可

前述の通り、組織委は昨年3月2日までに「アップ禁止」の方針を撤回している。IOCからの指摘を受けたもので、現在は問題ないとされている。
聖火リレーの担当者はBuzzzFeed Newsの取材に対し、「一般の方の投稿に関するルールはありません」と回答した。
なお、大会そのものについてはルールがある。組織委の広報担当者によると、会場内で撮影した動画や音声は、SNSなどネット上にアップすることはできない。たとえば、Instagramのストーリーも該当しうるという。
これは、「チケット購入利用規約」(33条)で著作権を含む「一切の権利」をIOCに移転すると定められているためで、公開にはIOCの事前の許可が必要とされている。写真のアップや、個人使用のためなら問題がない。
五輪めぐる情報に注意

東京オリンピック・パラリンピックをめぐっては、昨年の記事や画像が拡散される事例が相次いでいる。
たとえば「カナダが不参加を表明した」と拡散した情報も昨年の記事だ。また、聖火リレーのパレードについて、「スポンサーのコカ・コーラのスタッフがノーマスク」と、一部で昨年の画像が広がったケース(写真)もあった。
ミスリードに加担しないためにも、拡散している情報をシェアする際には、記事の公開の日付を確認するなど、注意が必要だ。
BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。
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- 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
- ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。
UPDATE
当初の記事では「会場内で撮影した動画や写真は、SNSなどネット上にアップすることはできない」としておりましたが、組織委の広報担当者がその後説明を訂正したため、文中表記を修正しました。