安倍晋三元首相の国葬をめぐり、G7などの現職の海外要人の「参加状況」と称する表が広がっている。
すでに故人となっている人の名が含まれていたり、役職名が間違っていたりするなど、不正確な情報だ。拡散には注意が必要だ。

広がっているのは、8月29日午後の以下のようなツイート。約3500リツイートされ、6000以上のいいねを集めるなど拡散している。
「意味のない国葬だよ」と添付されている画像では、G7や国連常任理事国の現役首脳たちの「参加状況」をまとめている。しかし、不正確な情報が複数、含まれている。
(1)イギリスはジョンソン大統領となっているが、イギリスが議院内閣制で大統領はいない。また、首相のジョンソン氏は拡散時の段階ですでに辞意を表明していた。
(2)ドイツはシュミット首相となっているが、同氏は旧西ドイツの首相を1974〜82年まで務め、2015年に死去した。今の首相はショルツ氏だ。
(3)中国は習近平首相となっているが、習近平氏の肩書きは国家主席。首相は李克強氏だ。
同じ画像は8月29日夜にも別のユーザーにより「税金泥棒。だから、賛成者が負担しなよ。国葬反対!」などとツイートされており、3800リツイート、6800いいねされるなど拡散。その後も、たびたび複数のユーザーが投稿している。
また、同様のミスが含まれている情報もそのほかにも拡散しており、ツイートだけのものでも3000近くのいいねを集めているものがある。
ソースははっきりしないが、8月28日にネット掲示板「5ちゃんねる」に同じような表が書き込まれており、それが原型となって情報が拡散したとみられる。
参加状況に関する報道をまとめると…

報道機関の記事データベース「G-search」などを使って調査したところ、同表でまとめられている各国の参加状況は以下の通り。
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- ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。