性暴力の被害者をめぐり、自民党内部の会合での「女性はいくらでも嘘をつける」とする発言が報じられている杉田水脈衆議院議員(比例中国ブロック)。
本人は否定をしているものの、各メディアが出席者の話として発言を報じるなか、発言が「性差別」だとしてその撤回や辞職を求める署名が10万5000筆を超えている。
この署名について、自民党の野田聖子幹事長代行は受け取りを「辞退」したという。どういうことなのか。
UPDATE
フラワーデモ呼びかけ人の作家・北原みのりさんによると、当初は署名の受け取りを「辞退」していた野田氏側から、9月30日午後、署名主催者に「日程を確認し改めて返事をする」旨の連絡があったという。これに伴い、見出しを更新しました。

複数の報道によると、発言があったとされるは9月25日、自民党内部で開かれた来年度予算の概算要求に関する会議の場。
杉田水脈議員は性暴力被害者の相談事業について、民間委託ではなく警察が積極的に関与するよう主張。「女性はいくらでも嘘をつける。そういう方は多々いた」などと発言したという。
杉田議員はブログで「女性蔑視を意図するような発言はいたしておりません」などとして、発言そのものを否定している。
しかし、共同通信をはじめ、NHK、朝日、毎日、読売、産経、時事通信など各社が「複数の出席者」や「出席者」の話として、その発言があったことを報じている。
この発言をめぐっては、共産党などの野党が辞職を求めているほか、同じく自民党の橋本聖子・男女共同参画担当相は29日の会見で「努力されている方を踏みにじるような発言で、非常に残念」など批判。党側が対処することを求めた。
自民・野田氏は署名受け取りを「辞退」?

こうしたなか、杉田議員に対して発言撤回と謝罪、そして辞職を求めるネット署名は9万5000筆を超えている。
署名を主催するのは、性暴力の根絶を求めている「フラワーデモ」主催の団体。2019年、性犯罪をめぐる無罪判決が相次いだことをきっかけに活動をはじめた。
団体は杉田議員の発言について「弁解の余地ないセカンドレイプ、ヘイトスピーチであり、国際社会の水準からも性暴力に対する認識が著しく遅れている性差別です」と指摘。
「ジェンダー不平等を改善すべく努める国会議員が、率先して性差別的発言を行い、性暴力への無知を露呈することは許されるべきことではありません」ともしている。
フラワーデモでは、署名を自民党の野田聖子・幹事長代行に9月30日に提出する予定だったが、「日程調整ができない」として、署名の受取を辞退すると連絡を受けたという。代わりの日程の打診はなかった。そのため、改めた日程の調整を求めているとともに、橋本男女共同参画担当相に面談を申し込んでいるという。
自民党本部幹事長室の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「役員を改選したばかりで日程上タイトなのは事実」として、「時間的な問題で、案件を選んでいるわけではありません。他にも役員はおりますし、これをもってして、党として提出を受けられないというわけでもありません」と回答した。
一方、フラワーデモの呼びかけ人である作家の北原みのりさんは、BuzzFeed Newsの取材に対し、「3日で10万に近くの勢いで集まったという市民の声に対して、辞退という言葉を使われたことには、違和感を覚えます。私は柔らかな言葉での拒否と受け取りました」と語る。
そのうえで、「幹事長代行という役職である以上、党としても受け取らないことであると認識をしましたが、仮に受け取るのであればどのような形でもいいので受け取ってもらい、党としてどう責任を取られるのか、というところまで見解を伺いたいと感じています」とも話した。
杉田議員の発言、過去にも問題視

これまで、杉田議員は月刊誌「新潮45」(2018年8月号)で「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」などと寄稿し、大きく批判を浴びた。
この際は自民党側が「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた」として、注意と指導をしている。なお、「新潮45」はこの件を機に休刊した。
また、自らの性暴力被害を訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんに対しては、英BBC放送の番組(2018年)で「彼女の場合は明らかに女としても落ち度がありますよね。男性の前でそれだけ飲んで、記憶をなくしてっていうような形で」などとコメント。
さらに自身のブログやツイッターにも批判的な見解を記し、さらに伊藤さんを中傷する「ハニートラップ」「枕営業」などという内容の多くのツイートに「いいね」を押したとして、伊藤さんから8月に損害賠償訴訟を提起されている。
UPDATE
署名の人数を更新しました。