4月2日は「国際ファクトチェックデー」。NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)が、政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証するファクトチェックの基準を発表した。
4月の統一地方選挙や7月の参議院議員選挙などを控えていることもあり、各メディアに活用を呼びかけている。

この日に発表されたのは、ファクトチェック記事を発表する際に対象を評価する9つの「レーティング」という基準だ。
これまで、ファクトチェックをしてきたメディアが自主的にレーティングをしてきたが、FIJが今回初めて共通の基準を設定した。
- 「正確」事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
- 「ほぼ正確」一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- 「不正確」 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 「ミスリード」一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 「根拠不明」誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 「誤り」全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 「虚偽」全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 「判定留保」真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 「検証対象外」意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。
透明性や公開性がクリアに?

今回の基準は、過去の衆議院議員選挙や沖縄県知事選挙などでファクトチェックをしてきた複数のメディアが議論、協議をしたうえで作成されたという。
瀬川至朗理事長は「メディアがそれぞれの基準を使っていたが、受け手が混乱するおそれもある。今回、改めて統一的なレーティングができたことになるので、透明性や公開性がクリアになると期待しています」と意義を強調した。
ガイドラインではこのほか、検証対象とする言説の定義(▽事実言明を含まない意見表明や主張は対象としない▽不特定多数に公開され、社会に影響を与える可能性のある言説)なども決められている。
「フェイクニュース」とひとまとまりにされがちな言説にも、さまざまなグラデーションがあることは、兼ねてから指摘されてきた。
楊井人文事務局長はこうも語る。
「フェイクニュースはわかりやすい言葉だが、相手を攻撃する意味合いが強くなっている。ただ、ファクトチェックはそれを目的をしたものではありません。今回のガイドラインが”フェイクニュース”という言葉の乱用に歯止めをかけ、冷静に、ファクトを大切にしていくための基準になれば」
自動収集システムも
FIJは東北大学とスマートニュースの協力を得て、自動的に「疑義言説」を収集するシステムを開発。協力関係にあるメディアに無償で公開していくという。
さらに、ファクトチェック講座の実施などを進め、メディアや研究者、エンジニアといった関係者や、市民や学生も含めた参加機運を高めていきたい、としている。