22兆円、負担するのは私たち? 福島第一原発の廃炉は、本当に「低コスト」なのか
これからさらに膨らむ恐れがある。
日経新聞によると、21.5兆円のうち東京電力が負担するのは15.9兆円。もちろん、利用者の電気代などによるものだ。
関西電力など、ほかの大手電力会社が負担するのは3.7兆円。また、自由化で参入した「新電力」も2400億円を支払うことに決まった。
国が負担するのは1.6兆円だ。
つまり、何らかの形で国民全員が、廃炉・賠償費用を負担することになる。

Christopher Furlong / Getty Images
ちなみに、21.5兆円の内訳は以下の通りだ。
* 廃炉費用:8兆円(これまでの想定2兆円)
* 賠償費用:7.9兆円(5.4兆円)
* 除染費用:4兆円(2.5兆円)
* 中間貯蔵施設整備費用:1.6兆円(1.1兆円)
廃炉費用は東電が支払うことになる。
一方、賠償費用や中間貯蔵施設整備の費用は、実質的に国民が負担する。電気代や税金などによるものだ。
除染には東電株の売却益が当てられるが、足りない分は税金で補われるという。
メルトダウンした核燃料を取り出す技術が確立していないため、費用は今後、さらにかさむ可能性もある。

Christopher Furlong / Getty Images
それでも。政府は「原発のコストは安い」と強調する。

時事通信
世耕弘成経済産業大臣は12月6日、記者会見でこう発言している。
「試算を複数回行った結果、いろいろな費用を全部含めたとしても、発電単位当たりのコストというのは、原発が一番安いと考えております」
いま日本では、12月8日夜に再稼働した川内1号機(鹿児島県)、同2号機、伊方3号機(愛媛県)の原発が稼働中だ。
安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけている。
経産省は、原発が止まると「貿易収支が悪化するとともに、電力会社の財務状況も悪化」すると指摘。火力発電に比べ、二酸化炭素の削減効果があるとも強調する。
各地では今後も、老朽化した原発の運転延長や、再稼働が進んでいく。