電通に対する入札参加の停止が相次ぐ 東京都はどう対応、五輪への影響は?

    違法な長時間労働の疑いで書類送検された電通。入札への参加を停止する動きが広がっているが、オリパラ事務局だけで10億円発注している都はどうするのか。

    違法な長時間労働が問題視されている電通に対し、入札への参加を停止する措置が相次いでいる。

    書類送検を受け、五輪の「ホストタウン」構想や特産品PRなどで電通に事業を発注している滋賀県が、同社の入札参加停止の手続きをはじめた。

    滋賀県建設工事等入札参加停止基準」には「禁固刑以上の刑に当たる犯罪の容疑による書類送検」があり、該当すると3ヶ月の参加停止となる。

    電通が書類送検された労働基準法の32条(労働時間)の罰則は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金で、この規定に触れるとみられる。

    また、電通に昨年1年間で22億円の発注をしている日本中央競馬会(JRA)も、同様に入札参加を停止している。

    違法行為で書類送検された企業を、入札から除外する規定があるためだという。期間は1月28日までの1ヶ月だ。

    2020年の東京五輪を開催するにあたり、業務を発注している東京都はどうするのか。「東京都競争入札参加有資格者指名停止等取扱要綱」(別表4-6項)にはこう記載されている。

    違法行為等を行うことにより、社会的信用を著しく失ついしたと認められる場合(1月以上9月以内)
    ア 税法違反(標準3月)
    イ ア以外のその他違法行為等(標準1月)

    BuzzFeed Newsは、都財務局の担当課長に聞いた。

    では、仮に書類送検だけではなく、起訴されたり、罰金が確定したりしたらどうなるのか。

    「一般論で言えば、検察に起訴されるのか、罰金処分になるのかなど何かしら処分が出れば、都として事実確認をするために、事情聴取や報告書を出してもらうなどの手続きを踏んでもらうことになります」

    「さらにそこで指名停止をする方向性となれば、合議機関である『東京都契約事務協議会』に付議をして、決めていくという段取りになります」

    東京都は、どれくらい電通に発注をしているのか。全体でまとめているデータはないという。

    そこでBuzzFeed Newsは、五輪に向けて準備を進める東京都オリンピック・パラリンピック準備局に取材した。

    同局によると、障害者スポーツ観戦促進のための事業「TEAM BEYOND」など、2015〜16年度までに17件、計10億円を発注しているという。

    あくまでもこれは、都全体ではなくオリパラ事務局だけの数字だ。先出の財務局の担当課長はこうも言う。

    「今の段階で、ただちに何かをしないといけないステップにはありません。しかし大きい会社ですので、その分の影響もある。都としても何もしないわけではなく、今後の行く末を注視していきます」