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「顔出し」で電通を批判した社員 NHKが守れなかった取材源の秘匿

なぜ、そのまま報じられたのか。

電通に関する一連の問題を報じたNHKのニュース番組内で、「自浄能力のない会社」などとコメントした男性社員に対し、同社が「戒告」の懲戒処分を下していたと、ニュースサイト「My News Japan」が報じた。

この報道をめぐっては、男性が会社批判というセンシティブな内容のコメントをしているにもかかわらず、本人が特定できる「顔出し」で報道されていたことに批判が集まっている。

どういう経緯だったのか。BuzzFeed Newsは両社に取材した。

そもそもこの男性のコメントが流されたのは、11月7日午後7時に放送された「ニュース7」だった。

厚労省による電通への強制立ち入り調査と、石井直社長が全社員に向けて出したメッセージについてのニュース。「40代社員」とされた男性は、社長メッセージの終了後、こう取材に応じている。

いい話になっているが新しい働きの改革に向けた話は違うのではないか。捜索が入ったからと言って急に騒ぎ出すのは自浄能力のない会社だなと思う。

Twitterなどには、会社批判を「顔出し」でしたことについて、「勇気がある」「負けないで」と評価する声もあがっていた。

NHKニュース7、電通40代社員「捜査が入ってから騒ぎ出すのは自浄能力がない会社だと思った」 よく顔出しで言ったな。会社前インタビューでまともに会社に批判的な内容を堂々と答えてる一般社員って初めて観たかも。電通ともなると気概のある社員もたくさんいるのだろうな...

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しかしその2時間後、午後9時からの「ニュース9」では、男性のインタビューは消えていた。「見守っていければと思います」と答える、別の男性社員のインタビューに差し代わったのだ。

WEBニュースから該当部分が消えたという報道もあり、一時は「陰謀論」まで囁かれた。

BuzzFeed Newsは電通に取材を申し込んだが、広報部からは「社内処分については開示しておりません」との返答があった。

複数の関係者への取材で、この男性に戒告処分が下されたことは確認できた。しかし、NHK報道との直接的な関係はわかっていない。

守れなかった取材源の秘匿

では、NHKの対応はどうか。

そもそも、記者が守るべき基本原則として「取材源(情報源)の秘匿」という考え方がある。

取材源の身元が明らかになると、本人やその周辺に不利益が及ぶ可能性がある場合、名前や顔を明らかにしない。そうやって取材源を守るための職業倫理だ。

企業内部の声を報じる場合も、実名告発などを除けば、「関係者によると」「社員によると」などとするケースがほとんどだ。

なぜ、NHKはそのまま顔を出して、報じたのだろうか。

感想を述べた社員の是非は兎も角として、本人が分かる流し方をしたNHKに配慮のなさを感じる。 https://t.co/FlkQpvSXaV

NHKはBuzzFeed Newsの取材に対し、この点について、取材の不備を認めた。

「放送後、ご本人から連絡がありました。多くの社の囲み取材でしたが、取材終了後、一部の社に『匿名の映像にしてほしい』と伝えていたことがわかったため、このインタビューの使用をやめました」

また、関係者によるとこの男性は20代だ。それなのに40代社員として報じられている。なぜ、社員の年齢が間違っていたのか。

NHKは「年齢については確認が不十分でした」と回答。「訂正がされていないことについてどう考えているのか」という質問については、返答はなかった。



Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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