ロシアがウクライナに侵攻したことをめぐり、ネット上で「フェイク動画」が広がっている。
海外、国内で複数の動画が拡散されており、中には数万〜数十万回再生されているものもある。
BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施。過去の動画の使い回しや、シミュレーションゲームの場面など、複数の誤情報を確認した。

多くの動画はTwitterやYouTube上で拡散しており、2月24日にロシアがウクライナに攻撃を始めた直後から大量に広がっている。
たとえば、「ロシアの空挺部隊がキエフを襲撃。その直前の映像」(写真左)として拡散した動画は、5日前にTikTokにアップされたものだ。少なくとも、24日の侵攻に関するものではない。
「ウクライナに降り立つロシアのパラシュート部隊」(写真右)と銘打たれた動画は、遅くとも2016年にTwitter上に投稿されていた。

「キエフ上空を飛ぶロシア軍の戦闘機」(写真左)という動画は、2020年にモスクワで撮影された軍事パレードの動画に、サイレン音が組み合わされたものとみられる。
「ウクライナの爆発」(写真中)と称する動画も、実際には7年前に中国・天津で起きた爆発の映像だ。24日の様子とみられる動画と、この爆発をつなぎあわせた日本語のフェイク動画も確認できた。
さらに、「速報:ロシアがウクライナを侵略」(写真右)と拡散した動画は、ロシアの戦争シミュレーションゲーム「War Thunder」の1場面だった。
ウクライナ情勢をめぐっては情報戦も繰り広げられており、動画などの拡散には注意が必要だ。
BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。
ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。
また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。
- 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
- ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
- ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
- 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
- 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
- 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
- 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
- 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
- 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。
UPDATE
「ウクライナに降り立つロシアのパラシュート部隊」の動画について、当初は「2018年のロシアで開かれた演習の様子だと指摘されている」としていましたが、2016年にTwitterに投稿されていたことが明らかになったため、記事を更新しました。