「領海侵犯ではない」
海上保安本部は今回の航行が「領海侵犯ではない」としている。なぜなのか。
そもそも外国の船舶には、沿岸国の利益を害さない程度で、自由に通航することができる「無害通航権」がある。
BuzzFeed Newsの取材に応じた第七管区海上保安本部の担当者は、「領海侵犯には当たらない」理由をこう説明する。
「無害通航に当たらないという、確定的な情報が得られているわけではありません」
国連海洋法条約では「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り」無害であるとされている。害を与える行為のたとえとして挙げられているのは、「武力による威嚇や武力行使」「兵器を用いる訓練や演習」「航空機の発着」「漁獲活動」などだ。
海上保安本部によると、巡視船は無線で中国公船に「我が国の領海内における無害ではない通航は認められない」と呼びかけていた。ただ、実際に「害する行為」は認められなかった、ということだ。
朝日新聞などによると、外務省は中国側に対し「関心の表明」を出した。航行の意図などを確認するもので、抗議ではないという。NHKによると、これも「日本の秩序や安全を脅かすものかどうか定かではない」ことが理由だ。