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【更新】沖縄で炎上した米軍ヘリ、なぜ「墜落」と言えないのか? 防衛省の見解は

機体は大破していても…?

10月11日の夕方に起きた、沖縄県東村高江に米軍の大型ヘリコプターCH53が緊急着陸、炎上した事故。

当初は「墜落」との言葉で報じられていたが、その後多くの報道が「ヘリ炎上」「米軍事故」「不時着」という表現に変わった。

ただ、機体が大破しているようにも見えることから、Twitter上などでは「不時着ではなく、墜落ではないか」との声も上がっている。なぜ「墜落」とは言わないのだろうか。

事故を起こしたのは、米海兵隊普天間基地の大型ヘリ「CH53」だ。

午後5時20分ごろ、訓練飛行中に機内で火災が起き、東村高江にある「北部訓練場」の近くの民間牧草地に緊急着陸した。乗員7人や民間人に被害はなかった。

この事故について、当初は多くの報道が「墜落か」としていた。新聞各紙は初報の段階で「墜落したようだ、と消防に通報があった」などと伝えている。

一方、NHKは当初から、防衛省関係者の話として「着陸後に出火した」と、米軍関係者の話として「不時着した」としている。

米国の報道はどうか。ニューヨークタイムズ紙(11日)はこのように「Crash」(墜落)という表現を見出しにとっている。

U.S. Helicopter Crashes on Okinawa, Adding to Safety Concerns(米ヘリが沖縄で墜落、安全上の懸念が拡大)

こうした表現は、ウォールストリート・ジャーナル紙も同様だ。

防衛省の認識は

そもそも、墜落と不時着の違いはなにか。

広辞苑には、「墜落」は「高いところから落ちること」と、「不時着」は「航空機が、飛行中故障または燃料の欠乏などのため後続不能となり、予定しない時、予定しない地点に降りること」と記されている。

一方、防衛省は以前、BuzzFeed Newsが「墜落」と「不時着」の違いについて問うた際、「機体のコントロールを失った状況で着陸または着水する状況が墜落」であり、「パイロットの意思で着陸または着水した場合は、不時着」になるという認識を示していている。

今回の事故への認識はどうなのか。

取材に応じた担当者は、「現時点では緊急着陸したという風に承知している」と回答した。

その根拠がどこにあるのか。防衛省は、米軍側から説明を受けたため、と回答した。

「本件については、米側から、エンジンの一つが火災を起こしているという警告灯の表示があり、機内にも煙が入ってきたため、民家のない場所を目指して飛行し、緊急着陸を行ったとの説明を受けています。このため、防衛省として緊急着陸という判断をしています」

繰り返される見解の相違

米軍もやはり、「緊急着陸」という見解だ。

沖縄タイムス(12日)は、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官と、富川盛武副知事とのやりとりをこう紹介している。

午後6時ごろには、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官から富川盛武副知事に事故の連絡が入った。「墜落か緊急着陸か」と問う富川氏に、ニコルソン氏は「クラッシュ(墜落)ではない」。けが人はなく、現場は「安全だ」と強調したという。

米軍準機関紙の星条旗新聞は当初「Crash」を見出しに取っていたが、その後「emergency landing」(緊急着陸)という表現に修正したようだ。記事には、「日本側は当初『墜落』と発表していた」と書かれている。

墜落か、不時着かーー。

こうした見解の相違は、2016年12月、名護市沖であったオスプレイ事故でも生まれていた。当時、防衛省の担当者はBuzzFeed Newsにこう説明していた。

「乗員5名が生存しており、意図せず墜落した場合はそういう風にならないという意見が防衛省内でもある。こちらも、おそらく不時着水であろうと認識しています」

機体の損壊具合は関係がないという。今回の事故も、この認識に当てはまっているようだ。

捜査を阻む「日米地位協定」

今回「不時着」したヘリの旧型機「CH53D」は2004年、宜野湾市の沖縄国際大に墜落する事故を起こしている。

乗員3人が負傷、大学や周辺の建物に被害をもたらした。別館では授業を受けていた生徒もいたが、幸いにして民間人の人身被害はなかった。

この事故では、沖縄県警による捜査が一切できていない。米軍側が日米地位協定に基づき、一方的に現場を封鎖し、ヘリを搬送してしまったからだ。

この「捜査権の壁」の根拠になっているのは、地位協定に付随する以下の合意文書だ。

日本国の当局は、通常、合衆国軍隊が使用し、かつ、その権限に基づいて警備している施設若しくは区域内にあるすべての者若しくは財産について、又は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国の当局によるこれらの捜索、差押え又は検証に同意した場合は、この限りでない。

つまり、米軍が協力すると言わない限り、日本側が独自に事故を検証するのは、不可能に近い。実際、2016年12月のオスプレイ事故でも、米軍の協力が得られず、海上保安庁による捜査は難航した。

墜落か、不時着かーー。今回の事故について、日本側がどう捜査することができるのか。まだ、明らかになってはいない。


BuzzFeed Newsでは【米海兵隊の事故率が急上昇している 背景には深刻な訓練不足が】という記事も掲載しています。



Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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