長引く新型コロナウイルスの影響。自粛ムードは「夜の街」にも、暗い影を落としている。

「路頭に迷うホステスが、多数出ると思います」
銀座でホステスをしているという美紀さん(32)は、BuzzFeedの公式LINE「バズおぴ」で、そんな窮状を訴えた。
「今回のコロナウイルスパニックでの自粛の波は、イベント業界だけでなく、飲食店やナイトワーク従事者にとっても大打撃です」
「とくに、銀座、六本木などの繁華街は企業の自粛で開店休業状態。とはいえ、臨時休業させれば『感染者が出たのでは?』との噂になり今後の営業にも影響は避けられません」
専門家も「換気が悪く、人の密度の高い空間での複数人とのおしゃべりは避けて」と呼びかけていることもあり、ラウンジやクラブのような飲食店にはネガティブなイメージがつきまとう。
実際、大分のクラブでは、女性従業員と客から感染者が出た。大分市はほかの従業員41人全員が陰性だったことから「クラスターが発生した可能性は低い」としているが、ダメージは深刻だ。
美紀さんの店でも、常連客たちからは、こうした声が漏れ聞こえるという。
「感染が怖いからいかない」「家庭にウイルスを持ち込むわけにはいかない」「会社で飲み会を自粛するよう言われている」「社員に自粛要請しておいて自分が飲み歩くわけにはいかない」
客が減っているため、店側からは出勤できるスタッフの人数を制限されている。専業でホステスをしている美紀さんは、こう不安を吐露する。
「他店舗もそのようです。私たちは日給月給で、しかも売上ノルマなどもある。出勤できなければ即収入減に直結してしまうので、死活問題です。今月の収入がどのくらいになるのか、計算もできません。生活がかかっているので不安です。給与補償があるわけでもなく、先が見えません」

リーマンショックや震災などのたび、ホステスはそのしわ寄せを受けてきたの、と美紀さんはいう。必要なのは「労働者としての権利の保障」だ、とも。
「もともとホステスの労働環境は、一般的な労働基準法からはかけ離れています。不当なペナルティを引かれたりします。額面の半分もざらです。それを是正してくれる機関もないので泣き寝入りなのですが、この不景気が続けば、働けど収入が入ってこない可能性も高いのです」
もちろん、収入面だけではない。自らへの感染リスクも不安な要素のひとつだ。
「接客中にマスクをすることはできず、お客様に消毒を促す事もなかなか難しいです。入口、トイレに置いてありますが自主性に任せてます」
「体調不良のスタッフは休むように言われています。『昼間の仕事で』『実家に戻っている』というように指導されています。とはいえ、自己申告なので収入を考えて隠して出勤する方もいます」
そのうえで、複雑な心境とやりきれない思いを、こんな言葉にした。
「私もいま、自分が感染したり、お客様や同僚に移してしまったらクビになるという不安もあるので、万が一罹患しても内緒にしてしまうかも、という気持ちも正直あります。しかし、(そんなことをして)蔓延してしまえば、ますます不景気になるので、罹患しないよう日々気をつけて過ごしています」
「私たちの業界の存在を『無駄』という人もいます。しかし、これを生業にしている人間がいること、困窮していることを理解していただけたら幸いです」
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