宅配大手の「ヤマト運輸」が5月22日、新聞各紙で「宅急便の値上げ」を告知する全面広告を掲載した。
「宅急便はいま、経済と社会の大きな環境変化に直面しています」。そう呼びかけるメッセージには、ヤマト運輸の切切たる願いが込められていた。
ヤマト運輸広報によると、全面広告は全国紙や地方紙を含めた54紙、業界紙6紙の計60紙に掲載したという。部数にすると、4000万部だ。
労働問題に注目が集まるなか、宅配ドライバーや配送業務に携わる人たちの過重労働も「やりがい搾取」であると問題視されていた。
背景にはネット通販の拡大がある。国土交通省によると、2015年度の宅配便の取り扱い個数は37億4493万個だ。
ここ20年間で約3倍に増え、シェアではAmazonを扱うヤマト運輸(46.7%)がトップ。次いで佐川急便(32.3%)、ゆうパック(13.8%)と、上位3業者が9割を占めている。
さらに、即時配達や再配達など、サービスの行き過ぎも指摘されてきた。
こうした状況を受けたヤマト運輸は、2017年3月、「お届け指定時間帯」の「12〜14時」を廃止し、「20〜21時」を「19〜21時」に変更すると発表した。6月19日から適用される。
全面広告でも「人員増強」「負担軽減のためのIT化」「自動化への投資」「宅配ロッカーの普及拡大」などに取り組む、としている。
基本運賃は、10月1日から値上げされる。
60〜80サイズで140円、100〜120サイズで160円、140〜160サイズで180円値上げする。
同時に、ネットでの申し込みや直営店での受け取りなど、業務効率化に協力することで割引される制度も始まるという。
詳細はヤマト運輸のサイトに掲載されている。