梅毒が大流行、42年ぶりの感染拡大 20代女性で急増、厚労省は「危機的な状況」

    初期症状が出ないこともある梅毒の感染報告が、ここ数年で急増している。

    性感染症のひとつである「梅毒」が大流行している。2016年度の報告数はすでに4077件(11月27日現在)で、4165件だった1974年以来、42年ぶりに4千件を超えた。

    性行為(オーラルセックスやアナルセックスも含む)で感染する梅毒。

    厚労省によると、全身の発疹やリンパ節が腫れるなどの症状があり、放置すると脳や心臓などに重大な合併症が生じることがあるという。

    また、妊婦が感染すると、早産や死産などにつながるおそれもある。無症状で進行することもあるので、検査による早期発見と治療が必要だ。

    「男性の病気」と思われがちだが、そうとも言い切れない。ここ6年に限ると、女性の増加が約8倍と顕著だ。

    年齢分布別(2015年)に見ると、15〜24歳に関しては、男性よりも女性の方が報告数が多いことがわかる。

    厚労省結核感染症課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に「原因はわからないが、危機的な流行だ」と頭を抱える。

    「性風俗の存在だけでは説明できない流行です。自覚症状がないことがあるので、いつの間にか移しているケースも多いのではないか」

    妊婦検診で梅毒が判明するケースが増えているという、これまで滅多になかった現場の声も聞こえるようになったという。

    梅毒などの性感染症は、コンドームの適切な使用で感染リスクを減らすことができる。同省は、セーラームーンを起用したコンドームを製作するなどの対策に乗り出した。

    担当者は「一番の問題は無関心です」と言う。

    「たとえば風俗で働く人、風俗に行く人の問題だなどと思うのではなく、自分にも関係があると危機意識を持ってもらいたい」

    その上で、こうも呼びかけた。

    「梅毒をはじめとする性感染症はコンドームだけで防ぐことはできません。自分やパートナーを守るためにも、まず検査を受けてみてください」

    梅毒の検査は、地域によっては保健所で無料・匿名で受けることができる。抗生物質で治療できるが、感染を繰り返すこともあるので、定期的な検査が大切だ。

    厚労省のサイト「梅毒に関するQ&A」にはより詳しい情報が掲載されている。