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旭川の病院「中国人の入院で医療崩壊」は誤り。「観光バスで40人ずつ受け入れ」などと拡散

旭川市内の病院を名指しし、「中国人の新型コロナ患者を40人づつ受け入れている」「中国人の入院で医療崩壊ですか…」などと指摘する誤情報が拡散している。

新型コロナウイルスのクラスターが発生した北海道旭川市の病院をめぐり、「中国人患者を40人ずつ受け入れている」などとする情報が拡散している。

「中国人の入院で医療崩壊」などと広がりを見せているが、このような事実はなく、これは「誤り」だ。

ネット上の噂が根拠になっているとみられるため、注意が必要だ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

ネット上で拡散しているのは、以下のようなツイートだ。旭川市内の病院を名指しし、以下のような文言が続く。

「中国人の新型コロナ患者を40人づつ受け入れている。 そして、陽性者は日本人患者にすり替えられて報告される 全国にこんな病院が、一体幾つあるの」

この12月10日のツイートは2700以上のリツイート、3500以上のいいねが集まるなど、拡散。

さらにこれを「中国人の入院で医療崩壊ですか…」と引用リツイートした12月13日のツイートも、3000以上のリツイート、6500以上のいいねを集めている。

また、ツイートには同院院長がメディアの取材に答えているニュースのキャプチャ画像が添付されており、そこには以下のような文言が書き加えられていることがわかる。

「病院側が言うには40人ずつコロナ患者が増えてるんだって。何で40人ずつなんだろう?って。ちょうど観光バスで運べる人数だからね。すぐわかった。中国人だなって」

この文言は、旭川市内に暮らしているという別の人物による12月8日のツイート(写真下)の一部を切り抜いたもの。

同院に通う知人が「40人ずつコロナ患者が増えている」と言っていたとし、その要因が「ちょうど観光バスで運べる人数」であることから「中国人」だと推論を重ねているものだ。

このツイートは数百リツイートされるなど小規模に広がっていたが、その後、別の人物がニュース画像とコラージュ(写真上)をしたことでさらに広がりを見せたようだ。

なお、この人物はその後、「不安によるつぶやきで、旭川の病院関係者に混乱を起こしてしまった」としてツイートを削除し、謝罪している(現在はこのツイート自体も削除されている)。

旭川市も否定

旭川市保健所の担当者はBuzzFeed Newsの取材に、「(名指しされている)病院で確認されている感染者は、全員が日本国籍」と回答した。

「中国人を受け入れている」などとして拡散している情報についても、「根拠がない」と明確に否定した。

なお、現状では病院におけるクラスターの発生の原因は、特定できていないという。ただし保健所は、陽性患者の受け入れだけではなく、職員や業者などの無症状者からクラスター感染が広がった可能性もあるとしている。

また、現在北海道の国際線はストップしており、多くの外国人を受け入れるという状況は生じ得ないということにも留意が必要だ。

新千歳空港を運営する北海道エアポートによると、国際線旅客がゼロの状況は3月から続いている。札幌出入国在留管理局によると、入国者も8カ月連続ゼロだという。

こうした指摘はすでにTwitter上でも相次いであがっているが、ツイートは削除されずに拡散し続けている。

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、「感染者の上位の多くが中国人」「ほとんどが外国人」などという誤った情報も拡散している。

これらは、外国人の排除や差別につながり、かつ内容も誤っている。このような言説は、感染拡大など社会不安が増大する時期に広がりやすいことから、注意が必要だ。

BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。