• covid19jp badge
  • mediaandjournalism badge
  • factcheckjp badge

「安倍首相に布マスク販売を突っ込まれ、朝日新聞SHOPが閉鎖」は誤り。実際は…

安倍首相が指摘したのは、同社が運営する通販「朝日新聞SHOP」で販売していたマスク。いわゆる「アベノマスク」に対する批判的記事を配信していた同紙が、自ら「布マスク」を販売していたとしてネット上で話題になっていた。

朝日新聞記者に「アベノマスク」について問われた安倍晋三首相が、同社のネットショップで布マスクを販売していたと反論したことが注目されている。

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大したことを受け、4月17日に開いた記者会見での一幕だ。

この発言をめぐり、「突っ込みをされた後、朝日新聞SHOPを閉鎖」という指摘がネット上に広がっているが、これは誤りだ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

注目されているのは、会見での朝日新聞の記者と安倍首相のやりとり。

記者の質問は、全国一斉休校や布マスクの配布など、一連の新型コロナウイルスへの対応についての「自己評価」を問うものだった。

安倍首相は布マスクについて、こう答えている。

「布マスクにつきましても、まずはサージカルマスクを医療機関にしっかり配布しながら、サージカルマスクの受注について対応をしていくうえにおいてもですね、それ以外の介護施設などについては布マスクを配布させていただきました」

「いまこのご質問をいただいた御社のネットでも、布マスクを3300円で販売しておられたということを承知しています。そのような需要が十分にあるなかで、我々も2枚の配布させていただいたということでございます」

安倍首相が指摘したのは、同社が運営する通販「朝日新聞SHOP」で販売していたマスク。いわゆる「アベノマスク」に対する批判的記事を配信していた同紙が、自ら「布マスク」を販売していたとしてネット上で話題になっていた。

なお、このマスクは朝日新聞社が製造しているのではなく、大阪府泉大津市の老舗繊維企業がつくったものだ。2枚セットで手作り、4層構造の精巧なつくりという点をアピールしていた。

泉大津市は「繊維のまち」として知られ、コロナ問題でのマスク不足で、市と商工会議所、地場メーカーが協力して「泉大津マスクプロジェクト」を立ち上げ、地元の技術を生かした布マスクを製造している。

「突っ込まれ、突如閉鎖」ではなく…

安倍首相がこのマスクを持ち出して朝日新聞記者に反論したことは、首相への賛否両面から注目された。

これを受けネット上に広がったのが、4月18日未明の以下のようなツイートだ。同日昼現在で5000以上リツイートされ、9000以上のいいねが集まり、拡散している。

「安倍総理に記者会見で布マスク批判をした朝日新聞記者に対して「御社で売っている3,300円の布マスク」というブーメラン突っ込みをされた後、突如朝日新聞SHOPを閉鎖する朝日新聞SHOPの巻」

しかし、朝日新聞SHOPが安倍首相の指摘を受けて「突如閉鎖」されたという指摘は誤りだ。

SHOPは4月7日から緊急事態宣言が出されたことを踏まえ、閉鎖されているからだ。サイト上には以下のように記されている。

「政府が緊急事態宣言を出しました。これに伴い、朝日新聞SHOPは、物流に支障が出る恐れがあることから、お客様からの受注を、期間未定で停止いたします」

安倍首相もこの点を意識してか、「販売しておられた」と言っていることがわかる。とはいえ、この発言を聞いてSHOPサイトを閲覧し、誤解をした人たちがTwitterに複数同様の投稿をしているため、拡散などには注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。