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「産後うつは甘え」のわけがない。男性育休を3ヶ月取って気づいた10のこと。

産褥期の大変さ、ワンオペ育児のつらさ、そしてそびえ立つ保活の壁。男性記者が3ヶ月の間、実際に育休をとって、見えてきたこととは…?

なんで、男性も育休を取ったほうがいいんだろう…?🤔

Kota Hatachi / BuzzFeed

厚生労働省の雇用均等基本調査で、2019年度の男性の育休取得率は7.48%。前年度の6.16%からわずかに上がり、過去最高となっています。とはいえ、まだまだ高い水準にあるとは言えません。

9月19日は「育休を考える日」。4月に長女が生まれ、3ヶ月間の育児休業を取得したBuzzFeed Newsの男性記者が、取得して気がついた10のポイントをまとめました。

1. とにかく産褥期は大変だ

Kota Hatachi / BuzzFeed

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言下だったこともあり、出産時、後の立ち合いは一切禁止されていました。

妻は帝王切開で出産をしたので、僕は「もしもの時のため」に病院で待機。幸いにして、一瞬だけ赤ちゃんと妻と顔を合わせることができましたが、それからはサポートしようにもできない状況でした。

もちろん退院後も、妻の体力はしばらく回復しません。お腹を開く手術をした直後。自分の行動もままならないような消耗状態で、未知の生命体におっぱいをあげるのは、本当に大変なことなんです。

「産後うつは甘え」などと、医学的にも全くの嘘を言う人もいましたが、そんなことはありません。育休を取ったら父親は子育てにともに参加するだけではなく、妻のサポートもしっかりするべきだと思います。

2. とにかく子育てはやることが多すぎる

我が家は「混合ミルク」(母乳とミルク)で育児をしていましたが、とにかくやることが多すぎる。

ミルクをつくるだけでも、その工程はいくつもあります。70度以上のお湯をつくるところからはじまります。沸騰させて、粉ミルクをスプーンですくって、溶かして、湯冷ましを入れて、飲ませて、洗って、除菌して、乾かして……。

そのあとは抱っこして、あやして、寝かしつけて、おむつを替えて、替えたと思ったらうんちをして。うんちを拭いて、おむつを袋に詰めて、汚れた洋服をお湯につけて、沐浴させて……。

特に出産直後は赤ちゃんがどうして泣いているのかも全くわかりません。いつ、自分がご飯を食べて良いのか、トイレに行っていいのかもわからない。予測不可能なことが次々と襲いかかり、パニックになることもありました。

3. ワンオペは絶っっ対にキツい

Kota Hatachi / BuzzFeed

赤ちゃんを育てているだけで、1日は終わりません。掃除やご飯という普段の家事も当たり前にあるし、赤ちゃんのぶん洗濯物だって増えていく。それを全部ひとりでこなすなんて、到底簡単なことではありません。

我が家の場合は、効率化できるところは効率化して、分業制を徹底させてみました。夜はどちらかが常にまとまって眠れるよう、夜勤交代制度を導入してみたり、夕食は基本的に僕がつくったり。試行錯誤の連続でした。

コロナ禍もあり、ただでさえ不安が募る中の初めての育児。ふたりで話し合いながらなんとか序盤を乗り越えられましたが、これがひとりだったらと考えると絶対にキツかっただろうな、と思います。

母親が最初から育児のことを全て知っているわけではありません。最初のうちに父親と母親が一緒にいろいろとノウハウを学んでいくことができれば、そのあとの分担にも繋がるのだなと痛感しました。

4. そもそも育児情報が少なすぎる

育児情報の少なさには、驚きました。育てながらいろいろな課題や不安に直面しても、母子手帳などではカバーできないことばかり。

両親教室がコロナ禍で中止だったこともあり、いくつかの動画配信に頼ることもできましたが、特にネット上の公的な情報はそこまで充実しているとは言えず、苦労しました。

育児に関してはさまざまな「信仰」にまつわる情報も多く、答えが出ていないことも少なくありません。検索すると根も葉もないトレンドブログとか、育児関連企業の謎のオウンドメディアとか、個人ブログとか知恵袋的なサイトばかりが大量に出てくる。

命に関わる情報だからこそ、慎重に取捨選択したい。エビデンスに基づいたことを知りたいときにネットを頼るわけにもいかず、できる限り書籍などを参考にするようにしました。

行政による相談窓口や「こんにちは赤ちゃん」という乳児家庭全戸訪問事業などもありましたが、ワンストップで育児について学ぶ場、相談することができる公的な仕組みがオンライン・オフラインともにあれば良いのに、と当事者として感じます。

5. パパはまだまだ脇役扱い…?

Kota Hatachi / BuzzFeed

男性向けの育児関連のインフラは、まだまだ揃っていないな、と痛感しました。

たとえばオムツ交換台があるお手洗い。女性のトイレにはあっても、男性用にはない、ということはあちらこちらで直面する出来事です。

また、子育て向けのアプリやサイトで、そもそも男性が使うことを想定していない設計のものも少なくありません。登録時に女性しか性別を選べない、なんていう保活サイトもありました。

思えば、育児関連の本やCMなどでもお父さんは端っこにいるようなことが少なくありませんし、「ママ」が主語になっているタイトルも散見されます。これによって、モチベーションを削がれたり、孤立感を覚えてたりしまうお父さんもいるのでは……。

でも、それは女性だけが育児を担わされてきたことの裏返しでもあります。もっともっと社会全体の空気が変わればいいですし、そのためにも、男性がどんどん育休を取得できれば良いな、と感じています。

6. 街中のバリアに気づくように…

街って、思った以上にバリアがあるんだなということに、ベビーカーを押して歩くようになってから気づかされました。

階段しかないような場所は首都圏にもまだまだあって、駅や歩道橋で困ってしまったことも。エレベーターが整備されているところがほとんどですが、それもなかなか乗れずじまい……ということも多々。

ベビーカーを押しながらこれはどうやって開けたらいいんだ?というドアもたくさんありました。道の段差も意外に多い。いままで普通だった世界が一変するものだな、と。

赤ちゃん関連の設備は整っているところが増えましたが、オムツ交換台がないところも場所によってはあるので、行く前に事前にしっかり調べるようにしています。

一方で、街行く人たちが優しくしてくれるようになったな、とも感じました。道を譲ってくれたり、エレベーターを開けていてくれたり、トイレのドアを押してくれたり……。いつか恩返ししたいレベルです。本当にありがとうございます。

7. 液体ミルクは神。価格競争が起きてほしい

Kota Hatachi / BuzzFeed

上述の通り、我が家は混合ミルクで子育てをしていました。

特に外出先で重宝したのが液体ミルク。缶をプシュッと開けて哺乳瓶に注ぎ込めばそれで完成、という神様みたいな存在でした。お湯を調達する必要がないので、夜中、両親ともに疲れて切っているときにも活用しました。

僕自身が4年前の熊本地震で被災した経験があるので、災害時のためにもと思い常にストックをしています。このご時世、常温保存で数ヶ月持つのは心強いですよね。

ただ、ネックはその値段です。1本あたり200円〜。ビールと同じくらいなので、こればかりに頼るとちょっとお財布は厳しいかもしれません。

まだまだ参入業者も少ないからかもしれませんが、もっと値段が下がったら普段でも活用しちゃうな…と思いました。

8. 保活の壁はとにかく高い

Kota Hatachi / BuzzFeed

夫婦ふたりともキャリアの早期復帰を前提にしていたので、保育園探しには力を入れましたが、これがとにかく大変でした。

情報収集が肝ですが、そもそもコロナの影響でどこの園も見学ができないという状況に苦戦しました。さらに、結果として激戦区なので認可保育園はすべて落選。

そして、保留通知書には我が家の「ランク」の記載がないので、問い合わせると、情報開示請求が必要と言われ驚愕。こんなところで記者スキルが生きるとは……というのは冗談で、開示請求ってハードルが高すぎるような……

これは行政によるようなのですが、いずれにせよ慣れない育児の間に膨大な情報と向き合う時間って、なかなか作れません。育児だけではなく、保活もワンオペは絶対に大変だと思います。

9. 育休は世界トップクラスの手厚さ

日本の育休制度は世界でもトップクラスの手厚さなので、世のお父さんは絶対とった方がいい。

改めて情報を整理すると、支給額は、休業開始から180日間(半年)は賃金の67%、181日目以降は賃金の50%を受け取ることができます。

しかもこの給付は非課税。翌年の住民税も安くなります。また、期間中は社会保険料(健康保険と厚生年金)の納付が免除されるんです。

友人には、「育児は休みじゃないけれど、天使と過ごすあいだのベーシックインカム(実質8割)が補償されるんだよ…払ってきた雇用保険を取り返すチャンスだ!」とお勧めしています。

10. 育休は終わっても、子育ては終わりじゃない

Kota Hatachi / BuzzFeed

当たり前ですが、育児は育休が終わったあとも続いていくもの。休みを取ったから、あとはお母さんお願いね、じゃダメ。せっかく育休中にノウハウを培ったのだから、それを生かしながら、そのあとも一緒に子育てしていけたらいいと思います。

我が家の場合は4ヶ月から運良く行政の認定保育園に預けられたので、ふたりとも一緒に仕事に復帰をしました。お互いの時間をうまく調整しながら仕事や趣味、ひとりの時間もつくれるように目指しています。

たとえば娘の4ヶ月健診は、妻が仕事だったので僕が休みを取って行きました。周りは全員女性でしたが、これが男女半々になるのが当たり前な社会になればいい。

育休後も育児をしながら仕事を続けるにはどうすればいいのか、職場やパートナーと話し合うことが大切だなと感じています。

結論:とにかく赤ちゃんは尊い

Kota Hatachi / BuzzFeed

つらつら書いてきましたが、育て方や家庭にはいろいろなあり方があると思いますし、正解はありません。この10のポイントも、人によって全然違うものになるはずです。

また、育休は誰でも取得することのできる権利ですが、職場の実状によっては、取ることが現実的ではない、という声も多く耳にしてきました。どうしても取れない人を責めるような世の中にはなってもほしくありません。

でも、これから取ろうとしている人にはどんどん取ってもらいたいし、会社で偉い立場にいる人には、ぜひ部下にどんどん取らせてあげてもらいたいと感じています。

とにかく、なんであっても赤ちゃんはかわいくて、尊い。だからこそ、誰でも当たり前に、ジェンダー関係なく育児に携われるような世の中になってほしいと願っています。

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9月19日は「育休を考える日」。BuzzFeed Japanは9月19日(土)17時から、育休について考えるオンラインイベント「だって家族といたいから #育休を考える日」をTwitter(@BFJNews)より生配信します。

「だって家族といたいから #育休を考える日」

【配信中⚡️】 📺「だって家族といたいから #育休を考える日」 ゲスト:犬山紙子( @inuningen )、劔樹人( @tsurugimikito )、田中俊之(社会学者・ @danseigaku ) MC・ハヤカワ五味( @hayakawagomi ) //sponsored by 積水ハウス https://t.co/2pt9euzG8d

【出演者】 犬山紙子さん(エッセイスト)・劔樹人さん(ベーシスト・漫画家)・田中俊之さん(社会学者)・伊藤みどりさん(積水ハウス株式会社執行役員)・MC ハヤカワ五味さん

【配信】9月19日(土)17時〜 Twitter(@BFJNews)より生配信

【提供】積水ハウス株式会社

Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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