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母は外出を避けるようになった。車椅子を体験して初めて気づけたこと

「今までは全く意識したことがなかった」

多目的トイレの利用法について、多くの人が「ハッ!」としたTwitterの投稿がある。

次のようなツイートだった。

多目的トイレのおむつ交換台は、使ったら必ず元に戻して欲しいです(>_<)

車椅子ユーザーの方にはこれを戻すのが一苦労なので🏻

Ratchi / Via Twitter: @Terayan0103

投稿したのは、会社員のRatchiさん(@Terayan0103)。車椅子に乗り、街を散策したのがきっかけで知ったことだった。ツイートは1月22日現在、2万5000件以上リツイートされている。

Ratchiさんは、BuzzFeed Newsに話す。

「実際に体験してみないとわからないことは、本当に多いなと思いました。 おむつ交換台が元に戻っているかなど、今までは全く意識したことがなかったので」

「車椅子ユーザーは、こういった小さな不満を全て自分の中にとどめて、我慢してしまってるのかなとも思いました」

外出を避けるようになった母

△イメージ写真
Supersmario / Getty Images

△イメージ写真

車椅子は、1月14日に東京都内で開かれたイベントで体験した。

母にもっと外出してほしい、との思いで参加した。

50代の母は、2015年に脳梗塞で倒れて以来、片麻痺になった。少しの移動でも手すりが必要で、外出には車椅子が欠かせない生活を余儀なくされている。

それまでは、スポーツやダンスを楽しむアクティブな母だったという。だが、脳梗塞が生活を一変させた。外出を避け、ふさぎ込みがちになった。

なぜ外出を拒むのか。

「他の人に見られ、『普通じゃない』と思われるのが怖いようです。困難(バリア)に直面した時に、自分の病気を自覚させられるのが辛いとも」

そんな母が、嬉しそうに外出する場所がある。バリアフリーを徹底した近くのスーパーマーケットだ。

進んで外出する場所が増えれば。脳梗塞になる前に約束した家族旅行も実現できたら、きっと喜ぶはず。

そんな思いで、勉強のために大阪から都内に足を運んだ。街のバリアフリー状況を調査するイベントでの車椅子体験を通して、母の気持ちを少しでも理解できるとも思った。

その結果、多くの気づきを得た

△イメージ写真
Rich Legg / Getty Images

△イメージ写真

歩道は、車道側に傾いている場合が多く、意識しないと車道の方向に行ってしまう。小さな段差や点字ブロックに車輪が引っかかり、思うように進めない。自動開閉ではないドアだと、一人で開けるのが困難…。

たくさんの気づきの中の一つが、多目的トイレのおむつ交換台だった。

イベント主催者である「WheeLog!」事務局の織田洋一さんも、BuzzFeed Newsの取材にこう話す。

「おむつ交換台が開いていることで、便座までの車椅子移動、便座への乗り移りなどで邪魔になることがあります。また、介助者にとっても、開いたままでは介助の妨げになってしまいます」

車椅子に座りながらでは、立っている場合と違って力が入らないなどの理由で、開いているおむつ交換台を元に戻すのにとても苦労する。

一部の多目的トイレにある多くの問題

△イメージ写真
Dcwcreations / Getty Images

△イメージ写真

一部の多目的トイレでは、便座に車椅子を横付けできない、重度障害者には姿勢の保持が難しい人もいるが便座に背もたれがない、などさまざまな課題がある。「上げればきりがないかもしれません」(織田さん)。

そのような何気なく生活していれば意識しないことを知ってもらえれば、とイベントは開催された。

自分や身近な人が車椅子を利用するときのためにも

団体は、各地のバリアフリー状況を共有する無料アプリ「WheeLog!」をリリースしている。

△iOS/Android版どちらにも対応している。
WheeLog! / Via itunes.apple.com

△iOS/Android版どちらにも対応している。

健常者を含めたアプリ利用者から、車椅子で通れる道や利用可能な店、多目的トイレ、駐車場などの情報を写真や走行ログで集めて、バリアフリーマップを完成させるものだ。

初めての場所に不安を抱く車椅子ユーザーやベビーカーを押す保護者などに活用されている。

今回のイベントでは、情報をアプリに記録することも目的の一つだった。

織田さんは車椅子ユーザーだけではなく、「健常者にも協力してほしい」と呼びかける。

「自分や身近な人がいつ車椅子を利用することになっても、安心して外出できるためにご協力をいただきたいです」

Ratchiさんは母と飲食店を利用する際、事前にバリアフリーかどうが電話で確認しても、実際にはそうではなかった経験があったといい、「アプリが広まって、バリアフリー情報がより充実すれば」と話す。

「バリアの情報がどんどん視覚化されれば、バリアフリー化が今以上に進むのではないかと期待しています。そうすれば、もっと外出の選択肢が増えて楽しくなると思います」

BuzzFeed JapanNews

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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