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台湾の被災地支援のための寄付金。現地に「一部しか届かない」はデマ

台湾の地震を受けて、Twitterに投稿されたデマ。拡散が続いている。

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当該ツイートは本人によって削除されたため、追記しました。

台湾東部・花蓮県の沿岸で2月6日夜(日本時間7日)、大規模な地震が起きた。それを受け、Twitterに「台湾の地震で募金する時の注意事項ね」との書き出しで始まる投稿があった(9日現在、当該ツイートは削除されている)。

FNS系列による「フジネットワーク サザエさん募金」など4つの募金・団体を名指しし、被災地支援のために寄付を募った際、現地には寄付金の「一部しか届かず残りは朝鮮へ」などとしている。

結論から言うと、これはデマだ。

いずれも事実関係を否定。その一つである認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」は8日、BuzzFeed Newsの取材に、法的措置を検討していることを明かした。

名指しされたのは「フジネットワーク サザエさん募金」をはじめ、テレビ朝日系列による「ドラえもん募金」、公益財団法人「日本ユニセフ協会」、ピースウィンズ・ジャパン。

ユニセフ・アジア親善大使として、世界の子どもたちのために活動するタレントのアグネス・チャンさんの名も挙げられた。

そして、北朝鮮に寄付金の一部が流されたり、大半が支援以外の用途で使われたりするなどと理由を述べ、「募金する際は直接日本赤十字へ!」と締めている。

ツイートの拡散は続き、6万件以上リツイートされている(8日午後6時現在)。

BuzzFeed Newsはそれぞれに取材した。

「北朝鮮系。言わずもがな」とされたピースウィンズ・ジャパンの代表理事、大西健丞さんは、BuzzFeed Newsの取材に次のように心情を吐露する。

「北朝鮮との関係は全くありません。命をかけて支援活動に当たっている中で、自分の本国で根も葉もない噂で中傷されて悲しいです」

「ピースウィンズ・ジャパンは、日本政府やアメリカ合衆国から頻繁に助成を受けています。もし関係があるとすれば、そのような関係を築けていないのは明らかでしょう」

大西さんは、Twitterの投稿者に対して「法的措置を検討している」と明かし、「まずは弁護士に相談します」と語った。

台湾で地震が起き、災害支援をする各国の企業・行政・NGOなどが参画する国際プラットフォーム「アジアパシフィックアライアンス」との合同支援レスキューチームの隊長1人がすでに現地入りしている。現地調査と台湾のパートナー団体の応援のためだ。

「東日本大震災の時、台湾からたくさんの義援金をいただきました。緊急時の支援はお互い様で、今は日本から台湾を支援する時です。引き続き対応をしていきます」と大西さんは述べた。

日本ユニセフ協会の広報室・アドボカシー推進室長の中井裕真さんは「ご支援いただいでいる方に心配をおかけして、我々の広報活動の足りなさをお詫び申し上げます」と切り出した。

ツイートで「一番ダメ。アグネスチャンやスタッフの収益に大半が消費される」と言われたことに対し、「全くもって事実ではありません。公開している収支報告を読んでいただければわかります」と否定した。

「我々はユニセフ本部とほぼ毎日やりとりをし、収支を含めて監査され、寄付金の使い方も合意をもらっています」

「もし齟齬があれば、ユニセフを名乗る組織としての資格や公益財団法人の立場も剥奪されます。今度ともしっかりと活動を続けて参ります」

協会のHPでは「日本ユニセフ協会に関するデマや誤情報にご注意ください」と題し、デマや誤情報の例を紹介している。中井さんは、誤ったツイートが拡散する中、「デマだ」とユニセフ協会を擁護するユーザーがいたことに触れ「ご理解いただき感謝申し上げます」と話した。

デマに惑わされることなく、ご協力を

さらに、寄付金が「一部しか(現地に)届かず残りは朝鮮へ」とされた「フジネットワーク サザエさん募金」について、フジテレビは憶測を否定した上で、FAXで次のように述べた(以下、原文ママ)。

フジネットワーク・サザエさん募金で全国の皆様からご寄付いただいた貴重な募金は、全額を日本赤十字社や公益財団法人日本ユニセフ協会などに寄付しており、募金にご協力いただいた皆様には心より感謝しております。

今回起きた「台湾地震」に関して、サザエさん募金は実施していませんが、今後また実施する際には、デマに惑わされることなく、多くの方々に募金にご協力いただきたいと考えております。

テレビ朝日も同様で、「ドラえもん募金」に関して「ご指摘のような事実はありません」とBuzzFeed Newsに対してコメントした。

投稿者は寄付自体を否定しておらず、注意を呼びかけるのが趣旨とみられる。実際に災害発生時には、善意の心につけこんだ「義援金詐欺」が起きた例もある。2016年の熊本地震の際には、金融庁や消費者庁が注意するよう呼びかけた。

一方で、災害発生時にはさまざまな情報が飛び交い、デマが混乱を悪化させる恐れがある。寄付に対するデマは、被災地に対する経済的支援の妨げとなる可能性もある。

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