「ホームレスいじめ」と騒がれた国道の”突起物”が消えていた その理由は?

    渋谷の高架下に無数の石

    東京都渋谷区の高架下にある交通島に多くの突起物が設けられ、「ホームレス対策では」「危ない」などとネット上を中心に批判の声が上がった。国土交通省ではこれらの意見を受け、12月13日までに突起物である石をすべて撤去した。

    批判を受けた現場の写真がこちら。

    渋谷は首都高の高架下もこんな感じ。どこの地獄ですか(*_*)

    交通島は車を安全に通行させるためのもの。問題視された交通島は、渋谷区円山町の道玄坂上交差点にあり、上を通る首都高速道路の柱を囲むように整備されている。

    コンクリートで整備した交通島に、突起物となる廃材の石を多く設けていたが、Twitterでこの写真が拡散した。

    多くのユーザーが、ホームレス対策を進める事業だと捉え「ホームレスを排除するため」「税金の無駄遣いだ」などと批判が集まった。

    BuzzFeed Newsは、国土交通省東京国道事務所に問い合わせた。担当者の説明はこうだ。

    景観に配慮し、人が立ち入らないようにするため、もともと交通島には草木を生やしていた。

    ところが、数年前からゴミの投棄が深刻な問題となった。投棄が繰り返されるたびに、交通整理をしながら地元住民とも協力し、撤去と清掃にあたった。

    「たくさんのゴミが持ち込まれ、非常に頭を悩ましていました。大変な思いをしていたんです」

    たしかに、草木があったときに撮影された画像には、ゴミのようなものが見える。

    地元住民とも対策を話し合った結果、11月下旬に草木を撤去し、勾配をつけるようにコンクリートを敷き詰め、問題視された石を多く設けた。

    「ホームレス対策ではなく、ゴミ対策が目的です。これまで、ゴミが(草木に)隠れてしまうので投棄が起きやすかった。人から見えれば、ゴミを置くのは難しいはずです。交通島なので、人が住むことは、現実的にないと思います」

    交通島は横断歩道もなく、そもそも人が立ち入る場所ではない。

    突起物となる石を設ける必要は、本当にあったのか。

    「人の立ち入る場所でも、ゴミを捨てる場所でもないと伝えるためでした。突起物になったのは、廃材の石を使ったためで、意図的に尖らせたわけではありません」

    だが、一般の人々からの指摘が国交省を動かした。

    「交通事故が起きたり、人が間違って入ったりすれば、怪我をする恐れがあるという意見や、見た目が攻撃的だと景観に関する指摘を受けました」

    国交省は12日に石の撤去作業を始め、13日にすべてを撤去した。

    「国道なので、皆様が使われる場所です。いただいたご意見も踏まえ、地元の方々にも相談します。安全や景観に配慮し、なるべく早く突起のない違う形で再び整備したいです」

    石を設け、たった数週間で取り除いた。未完成に終わった交通島をゴミ対策のため再び整備するのにも、税金が使われる。担当者はこう語った。

    「人件費など余計だったと言われれば、余計でした」

    「やってみないとわからないこともあり、試行錯誤で対策を講じています。いたちごっこになる可能性もあり、何が正解なのか見つかりづらい問題です。理解していただきたいです」