寂しい。けれど、前を向く。ミスコンとミスターコンを廃止・刷新した上智大学、女子学生の思い

    上智大学の学園祭「ソフィア祭」の目玉が変わった。いったいどんなものとなったのか。企画・運営する学生たちの思いとは。

    上智大学の学園祭「ソフィア祭」の目玉だったミス・コンテストとミスター・コンテストが2020年、廃止となった。

    学内外からの指摘を受け入れて新たなコンテストに刷新し、「Sophian's Contest(ソフィアンズコンテスト)」としてスタートを切った。性別の枠を設けず、外見だけで頂点が決まらない仕組みを導入した。

    いったいどんなコンテストなのか。企画・運営する学生たちの思いとは。

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    ソフィア祭のミス・コンテストとミスター・コンテストは、学生たちによる「ソフィア祭実行委員会」により企画・運営されてきた。

    とりわけミスコンは伝統ある催しで、学内外からの注目度は高かった。一方で、いずれにも廃止を求める声が学内を中心にあがっていたという。

    「ミス」や「ミスター」という名称やウエディングドレスやタキシードの着用が、性の画一的な価値観の押し付けに繋がってしまう。グランプリを決めるにあたり、ファイナリストたちの外見のみを基準に投票者が一票を投じる恐れがある......。そんな意見があった。

    学生たちが、学校側からそうした指摘を受け始めたのは、2018年だった。そこで、ミスコンについては19年から応募時に性別の枠をなくすという対策を講じた。だが、多様な性別の学生から応募されず、結局大きな変化はなかったという。

    「寂しい」との気持ちもあるが、刷新に前向き

    千株式会社撮影

    2019年度のミスコン、ミスターコンファイナリストたち

    そして、今回のソフィアンズコンテストの新設に至った。

    企画・運営を担うソフィア祭実行委コンテスト局の局長を務める荒尾奈那さん(2年生、19歳)は「さまざまな声を聞いて、ミスコンは確かに良くないところがあると思いました。みんなで問題点を理解して、新しい形を作りました」とBuzzFeed Newsに語る。

    ただ、「寂しい」という気持ちも募った。

    荒尾さんはミスコンを内部からサポートしてきたからこそ、ミスコンにはミスコンの良さがあると知ったからだ。

    「候補者の人の成長が見られるのがミスコンの良さなんです。グランプリになる人が、グランプリになるのには外見だけではなく、内面にも理由があると思います」

    「ファイナリストたちは日を追うごとに内面的にも、外見的にもきれいになっていく。だから、学祭で最後、ウエディングドレスを着てステージ上に登場するのを見ているだけで泣けてくるんです」

    荒尾さんはもともと可愛い人や綺麗な人を見るのが好きだという。だから、ミスコンが好きなのは変わらない。それでも、今回の刷新を前向きに捉えている。

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    コンテストの刷新に向けて議論するソフィア祭実行委員会コンテスト局のメンバーら。中央が荒尾奈那さん

    総合的に評価してグランプリに。「SDGs」部門も

    投票者側からすれば、見た目の可愛さやきれいさなど容姿だけを理由に投票する気持ちもわかる。そのうえで、ソフィアンズコンテストは、候補者の成長の様子を見てもらうことにも重きを置いているという。

    性別の枠をなくしたソフィアンズコンテストは、「自身の魅力と社会課題を発信するインフルエンサーとしての活躍を競う」ものだという。

    部門は、「自己PR部門」「スピーチ部門」「SDGs(持続可能な開発目標)部門」の3つを設け、事前審査や11月4日の本選当日の審査をもって、もっともポイントを得た人がグランプリとなる。

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    つまり、容姿の魅力だけでは頂点に立てないような仕組みを採用した。荒尾さんは言う。

    「いくら外見が良くても、スピーチが上手ではなかったり、SDGsという社会問題に興味がなく、SNSなどを通した社会発信がおざなりだったりすれば、グランプリに輝けないようにしました。もちろん、今回、誰もウエディングドレスやタキシードを着ることはありません」

    第一回目のコンテストのテーマは 「sparkle(スパークル)」にした。コンテストのHPには、思いがこう記されている。

    多様性を尊重するコンテストの理念のもとで、候補者一人ひとりがありのまま輝いてほしい。また、変革したこのコンテストが、ジェンダーをはじめとした社会課題を発信し、広く議論を起こすための 「spark」(火付け)になってほしいという願いが込められています。

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    ソフィアンズコンテストのファイナリスト6人

    7月20日にはコンテストのファイナリスト6人の氏名や容姿、特技などが発表された。大学2年生〜4年生までの男性2人、女性4人という顔ぶれとなり、「個性豊かな6人になった」と荒尾さんは話す。

    海でサーフィンをしつつ、プラスチックゴミを拾う活動をする学生もいれば、環境問題を扱う学科に通う学生もいるという。

    大学生による初めてのコンテストのため、指摘されてきた問題を全て解決できたかはわからない。だからこそ、荒尾さんは「学内外の方からいろんな意見をいただいて、今後、良い形に変えていければ」との思いを持つ。

    「今回、もし外見だけで判断し、各候補者への投票があったという指摘があれば、それは社会がまだまだ変わっていないということになるとも思っています。社会全体でコンテストをどうすべきか考えてもらい、今後に生かしたいと思っています」

    「このコンテストが、多くの人にとって、ミスコンとミスターコンが抱えるジェンダー課題やあるべきキャンパスコンテストの形を考えるきっかけになってほしいです」

    バズフィード・ジャパン ニュース記者

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