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喫煙者は受動喫煙対策をどう思う。たばこを吸いながら語り合った3時間

世界禁煙デーの日。紫煙を愛してやまないヘビースモーカーたちが語りあった。

「世界禁煙デーに乾杯!」

受動喫煙対策をめぐる議論の中で注目された、5月31日の世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」。喫煙者たちが、自分たちを取り巻く環境を語り合う集会を東京都内で開いた。

登壇したのは、宗教ジャーナリストの藤倉善郎さん、エッセイストの中村うさぎさん、『日本会議の研究』で知られる著述家の菅野完さんの3人。いずれも未成年の時に喫煙をはじめ、紫煙を愛してやまないヘビースモーカーだ。

約30人が参加したトークライブハウスは、この日に限って喫煙可だった。非喫煙者もいる中、喫煙者は思い思いにたばこを吸いながら飲み物で乾杯し、瞬く間に紫煙が立ちこめていった。

調整が難航する受動喫煙対策

WHOによると、たばこにより世界で毎年700万人が死亡。そのうち、89万人が、受動喫煙によるもの。また、厚生労働省によると、日本では受動喫煙で毎年、約1万5000人が死亡しているという。

WHOの評価では、日本の受動喫煙対策は最低ランクで、厚労省は2020年までに対策を強化しようと、健康増進法改正案の提出を目指している。しかし、自民党と折り合いがつかず、調整は難航している。

「喫煙者=悪」でいいのか

非喫煙者は煙による健康被害だけではなく、臭いにも頭を悩ます現実がある。たばこを吸う人の多くが、害を与えるものであると理解しているのも事実だ。

受動喫煙対策をめぐる議論は、政治だけではなく身近でもホットな話題に。ネット上でも繰り広げられる中、喫煙者をそもそも嫌う人による「差別」が散見されるとして、藤倉さんはこう指摘する。

「受動喫煙に関する規制は仕方ない。でも、喫煙の話を考えるときには、受動喫煙をさせないのか、たばこを吸わせないのか、分けて考えないと危ない」

「『ポイ捨てするやつ死ね』『歩きたばこするやつ死ね』などの比較的まともな意見がある一方、『喫煙者全員死ね』『喫煙者に人権なんかないだろ』という差別的な発言があるんです」

中村さんは「そういう人は、快・不快の問題を正義と思い込んでしまう」と同意する。

しかし、菅野さんは「それを僕は、差別とは思わない」と反論した。

「生まれた時からの喫煙者はいない。僕らはたばこを吸うことを選び、選び続けてる。やめようと思えばやめられるのだから、差別という範疇から外れてしまう」

どんな人間であろうと人権はある。そして、喫煙者になった以上、他人に迷惑をかけてはいけない。しかし、「喫煙者=悪」として、どんな暴言を吐いてもいいわけではない。3人はそう意見が一致する。

菅野さん「官民の話になるのはおかしい」

健康増進法改正案の提出をめぐっては、厚労省は建物内を原則として禁煙とする方針である一方、自民党は「喫煙」「分煙」などの表示をすれば喫煙を認めるとの考えだ。それに対し、完全禁煙としなければ、従業員を受動喫煙から守れない、という意見もある。

厚労省が推し進めようとしている飲食店への規制について、喫煙者である3人はどう捉えているのか。

菅野さんは「官民の話になるのはおかしい」と強く訴えた。

「官(政府)が民(飲食店)に規制しようとするのではなく、店に決めさせればいい話だ。店が『たばこはNGです』といえば僕らは何も言わない」

藤倉さんと中村さんもうなずく。店側が完全喫煙可や分煙、完全禁煙のいずれかを決める自由があるべきだ、と。

都民ファーストの会の姿勢に苦言

また、東京都議選(7月2日投開票)でも受動喫煙対策は争点となり、主要各党はそれぞれ喫煙を規制する条例制定を公約に盛り込む。

自民党東京都連は屋内を原則全面禁煙として罰則規定のある条例を、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」は子どもがいる自宅や自家用車内での喫煙規制を検討するという。

家庭内に踏み込もうとする都民ファーストの会の姿勢に、3人は苦言を呈した。

菅野さんは「家の中に規制が入ってくるのならば、なおさら拒否しなくてはいけない」、藤倉さんは「家庭は飲食店以上に多様。手を突っ込むのは自由を度外視している」とそれぞれ表情を曇らせた。

語り合った約3時間、驚くほどの量のたばこが吸い殻に変わった。「タバコと寿司って本当にうまいんですよ」と繰り返した菅野さんは、お気に入りの葉巻も間に挟んで喫煙を終始、楽しんでいた。

「肩身の狭い思いで諦めるのではなく、堂々と吸いましょう。これからも楽しく」

たばこは嗜好品であると強く意識する藤倉さんは、受動喫煙対策に理解を示しつつ、喫煙自体を臆する必要はないと訴えた。次回は、非喫煙者向けのイベントを開催したいという。

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規制緩和は誰のため? #たばこ煙害死なくそう 活動に立ち上がる人たち

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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