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スキンケアや化粧は女性だけのものではなくなった 化粧水をシェアする若者たち

「男性だから」「女性だから」は古いかも。

近ごろ、性別の違いを意識しないファッションやライフスタイル、考え方が若者を中心に支持され始めている。

テレビや雑誌では、男女の壁を取り去った服に身を包み、化粧をするタレントのりゅうちぇるさんら「ジェンダーレス男子」や、「ジェンダーレス女子」の存在も受け入れられている。

スキンケアや化粧はもう女性だけの「特権」ではなくなった。

男性だって洗顔フォームや化粧水、乳液を使うし、眉毛を整える。爪を綺麗に磨く人がいれば、化粧をする人もいる。

「男性だから」「女性だから」と決めつけるのは、若者から見れば古臭いのかもしれない。

▼りゅうちぇるさん(右)
時事通信

▼りゅうちぇるさん(右)

男性客を拒まない店舗

「男性のお客様は、女性のお客様よりも、スキンケアのやり方や肌診断の結果をうなずきながら真剣に聞いてくださるんですよ。説明したことをちゃんと実践してくれそうと感じるほどです」

資生堂ジャパン・デパート営業本部営業統括部長の五島賢治さんは、BuzzFeed Newsに話す。

東京・銀座に今年4月にオープンした商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」。資生堂はそこに直営店を構え、女性客と同様のサービスを提供すると初めて打ち出した。

動いたのは、3年ほど前に男性社員から「男性客は、百貨店に行ってもなかなか実習(ビューティーコンサルタントによるスキンケアや化粧など)をしてもらえない。なぜだろう」という声があったからだった。

近年、男性の美容へのニーズは高まっている。以前にもそんな声は上がっていたが、時代の変化を捉え、社員の声を拾い上げた。社内の反発はなく、応援する声が新たな取り組みを後押しした。

男性の反応にやりがいや手応え

▼普段からスキンケアをしている筆者(私)。「化粧の魅力ってなんだろう」。それを探るため、化粧に挑戦したこともある。
BuzzFeed

▼普段からスキンケアをしている筆者(私)。「化粧の魅力ってなんだろう」。それを探るため、化粧に挑戦したこともある。

直営店だからこそできた、と五島さん。

「百貨店の売り場に来られる中心が年配の女性のお客様で、男性が隣に座って応対しているのをあまりよく感じられない方が多いです。男性も積極的に来店できない。そのため、なかなかやりたいようにできないという現状がありました」

「そこでギンザシックスがオープンするのを機に、規制がない直営店でまずは取り組もうと決まったんです」

女性のビューティーコンサルタントは、女性から実習を受けた時の男性客の気持ちに配慮し、顔や体の適度な距離感などの気遣いや振る舞いを工夫。男性特有の肌の特徴に基づいたテクニックも学んだ。

そうしてスタートした取り組みは、好評だった。ギンザシックスに足を運ぶ多くが若年層であるためか、女性客からのクレームは全くなく、男性客からは「来やすい売り場だ」と反響があった。

「男性のお客様は『こうすればいいのか』と真剣に聞いてくださるんですよ。ビューティーコンサルタントもやりがいや手応えを感じており、これまで美容に関する情報が男性に行き届いていなかったのかなと思いました」

「いつものやり方は正しいの?」70代も来店

これまで来店した男性客の年齢層は幅広い。大半が20、30代ではあるが、70代の人も相談に訪れ、驚いたという。モデルのようなおしゃれな服や髪型をしているわけではなく、ほとんどがごく一般の男性だという。

「男性は若々しく見られたいとか、アクティブに見られたいというニーズがあります。『今やっている方法が正しいのかわからない』という理由で、ほとんどが洗顔や化粧水、クリームの使い方の相談で来ていただいています」

男性の受け入れを可能だとPRするため、6月にはギンザシックスの店舗で、資生堂初の本格的な男性向けセミナーを1日限定で開催。来場した男性は100人を超えた。

ヘア&メーキャップアーティストが、スキンケアや眉などの身だしなみのコツを伝え、ビューティーコンサルタントによるパーソナルアドバイスがあった。みんなが食い入るように話を聞いていたという。

スキンケア商品をシェアする若者たち

若い男性を中心とした美意識の高まりから、スキンケアに関連したある行動が増えている。「スキンケア商品を男女でシェアすること」だ。

資生堂ジャパン・プレステージブランド事業部IMCマネージャーの岡田美樹さんは、次のように説明する。

「資生堂の消費者調査で、スキンケア商品を男女でシェアする傾向が20代前半に多く見られました。20代前半の男性は美意識がとても高くなっており、『私の使っているこれ使ってみる?』と女性が男性に勧めるようなやりとりが普通に生まれているようです」

その傾向は、筆者である私(26歳)も実感する。旅行をすれば、男女で「洗顔フォーム貸して?」「化粧水使う?」は当たり前のように言う。夏には日焼け止めも分け合っている。

上の世代は「嘘でしょ」と思うかもしれないが、お互いに抵抗感はない。

男性用と女性用で分かれていたのは。

資生堂

資生堂は、そんな20代前半をターゲットに据えた新スキンケアライン「WASO(ワソウ)」を10月1日にスタートした。男女ともに使えることを初めて売りの一つにしている。

そもそもなぜ、スキンケア商品で男性用と女性用が販売されているのだろうか。資生堂でも男性向けブランド「SHISEIDO MEN」や「uno」を展開しているように、男性用と女性用で分けているのには理由があるという。

岡田さんはその理由を「男女で皮膚生理と好みが違うから」と話す。

「男性はヒゲが濃いです。ヒゲを剃れば、自ら肌を守ろうとするバリア機能が失われやすいため、機能を高める必要があります。皮脂が多いのも特徴で、さっぱりしたもので保湿をしてあげるのが大事なんです」

「好みの問題もあります。男性は商品を使いましたとあからさまにわらからないようなサラサラしたテクスチャーであったり、清涼感があるスースーしたりするものが好きなんですよ」

20代前半をターゲットにしているから

そうならば男女兼用の商品を作るのは難しいように思える。

だが、岡田さんは「20代前半向けのブランドだからできた」と言う。なぜか。

「20代前半は肌の悩みが上の世代より少なく、ニキビや皮脂のベタベタ、毛穴の目立ち、乾燥など、男女で内容がそこまで変わりません。その悩みに対応したものだから、WASOでは男女兼用できるという考えです」

彼氏や彼女、友だちとスキンケア商品をシェアしたい。そして、せっかくならどちらの肌悩みにも対応したものを使いたい。そんなニーズに応えたかったのだという。

スキンケアや化粧は「男性も女性も関係ないのでは」

▼資生堂ジャパンの五島賢治さん(左)と岡田美樹さん
Kensuke Seya / BuzzFeed

▼資生堂ジャパンの五島賢治さん(左)と岡田美樹さん

筆者は中学生だった10年ほど前から洗顔フォームを使い、化粧水を使ってきた。当時は多くの同世代の女性から「え、まじで」などと偏見に感じるような言葉を浴びた。

しかし、今は違う。ほとんどの人に何も言われなくなり、時代の変化を改めて感じる。

五島さんは、化粧を例にして「男性も女性も関係ないのではないか」と投げかける。

「化粧は自己表現だと思うんですよね。自己表現をするのに男性も女性も関係ないのではないでしょうか。なので、純粋にきれいになりたい、こういう風になりたい、と考えるのであれば、男女関係なく叶えるべきでは、と思っています」

「コンシーラー貸して?」「いいよ」なんて会話が、当たり前の様に男女で交わされる日が来るのだろうか。「ない」とは言い切れない思いになる。


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<サムネイル=Mrkornflakes / Getty Images>

BuzzFeed JapanNews


バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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