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伊藤詩織さんと元記者の裁判で、傍聴券を求め長い列 抽選に外れた人は何を思うか

ジャーナリスト・伊藤詩織さんが、元TBS記者の男性に対して、損害賠償を求めている民事裁判の口頭弁論が開かれた。

意識を失った状態で性行為を強要され、重大な肉体的・精神的苦痛を被ったとして、ジャーナリスト・伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之氏に対して、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めている民事裁判。

その口頭弁論が7月8日、東京地裁で始まっている。原告・被告の両者から本人尋問が予定され、傍聴券を求めて多くの人が駆けつけた。

山口氏をめぐっては、伊藤さんが準強姦容疑で警視庁に被害届を提出。いったんは逮捕状が出たが、逮捕の直前で取りやめとなり、2016年7月に嫌疑不十分で不起訴となった。

不起訴を受け、伊藤さんが検察審査会に不服申し立てをしたが、検察審査会も「不起訴相当」と判断した。

伊藤さんはその後、今回の民事訴訟を起こした。2017年12月の第1回口頭弁論以降は、非公開の弁論準備手続が重ねられていた。

そうした中、山口氏は2019年2月、慰謝料1億3000万円や、謝罪広告の掲載を求めて反訴した。

そのため、この日の裁判では、山口氏による訴訟も併合して審理している。

両者の主張とは

伊藤さん側の主張はこうだ。

2015年4月、山口氏と就職の相談のために会食。その際、意識を失くした状況で、性行為をされた。激しい痛みで目覚めて、性行為をされているのに気づいたが、押さえつけられるなどして性行為を続けようとされたという。

「不法行為」になると訴えるが、山口氏側は「同意に基づいており、不法行為は一切ない」と反論する。

抽選に外れた人たちの思い

この日の口頭弁論を傍聴しようと、東京地裁前には早朝から多くの人が駆けつけた。

地裁の発表では、30人の傍聴席を求めて並んだのは168人。倍率は5.6倍だった。

抽選に外れた東京都の20代の会社員男性は、BuzzFeed Newsの取材に「同じ男性として、山口被告が何を話すのか聴きたかったが、残念」と語り、地裁を後にした。

また、北海道から来たという女性2人は、顔と実名を公表する伊藤さんに対し、「勇気を与えてくれている」とし、それぞれこう語った。

「裁判の結果が今後、あらゆる被害に影響すると思っています。そのため、ぜひとも勝利してもらいたいので、来ました」

「伊藤さんを応援したくて。山口氏が反訴しているのが信じられず、伊藤さんが勝つことを期待したい」

共同通信によれば、この日の口頭弁論でも伊藤さんが出廷し、こう証言したという。

「(山口氏と)会食中に目まいがして、気付いたらホテルで暴行されていた。『やめて』と言って、体を守るのに必死だった」

一方の山口氏の本人尋問は、午後に実施される。

訂正

記事中、「証人尋問」としていたのは「本人尋問」の誤りでした。訂正いたしました。