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伊藤詩織さん、高裁判決受けて思い語る 山口敬之さんは最高裁に上告の構え

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんに慰謝料などを求めた訴訟の控訴審。1月25日の東京高裁判決後、伊藤さんが記者会見を開いた。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんに性暴力を受けたとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審。

伊藤さんは、山口さんに約332万円の支払いを命じるなど勝訴となった1月25日の東京高裁判決を受けて同日夜、記者会見を開いた。

東京高裁の中山孝雄裁判長は一審に続き、山口さんが合意のないまま性行為に及んだとして、損害賠償約332万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

一方で、山口さんの反訴も一部認め、伊藤さんにも55万円の支払いを命じた。

高裁判決によると、伊藤さんは、これまで記者会見や著書などを通し、山口さんから性被害を受けたなどと公表してきた。その行為の目的は、公益を図ることにあると認められるとした。

ただし、伊藤さんがデートレイプドラックの使用に言及したことについては、「真実と認められない」とした。そのため、山口さんのプライバシーを侵害し、社会的評価を低下させたなどとして、この部分に関しては伊藤さんに55万円の支払いを命じた。

伊藤さんはこの日、報道陣に向かって被害を訴えた2017年の記者会見を振り返り、当時の原稿をもう一度、読み上げ、支援者らに感謝の言葉を語った。

「この当時は性被害に語る風潮が珍しかったが、世界で#MeToo運動が広がり、声をあげる女性が増え、変化を身を持って感じてきた」と裁判を通じて社会が少しずつ変わってきたと話し、「伊藤詩織ではなく、近い人に起きたらと考えてもらえたら」と願った。

高裁判決がデートレイプドラック使用の「事実は認められない」とし、55万円の支払いを命じた点については、こう述べた。

「著書で、疑っている気持ちを書き、公言してきました。感じたことなので、素直な気持ちを書いたまでです」

「当時、デートレイプドラッグが日本であまり知られておらず、その意味を問う声が多かった。公言したことで、実際に被害があると知ってもらうきっかけになったので、大きな一歩につながり、有意義だったと感じています」

伊藤さん側の代理人弁護団は、今回の判決について「丁寧によく検討された判決で、要点がわかりやすく、説得力があるものと感じている」と評価した。

一方、山口さんは同日夕に記者会見し、全体的に「不満がある。私としては、全く納得できない判決」として、最高裁への上告の準備に入る考えを示している。