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伊藤詩織さんと山口敬之さんの控訴審、来年1月に判決 法廷で2人が語った主張は

伊藤詩織さんと山口敬之さんともに出廷して意見陳述した。主張の内容とは。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんに性暴力を受けたとして、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9月21日、東京高裁(中山孝雄裁判長)であった。

伊藤さんは「裁判で訴えたかったのは、被害者が泣き寝入りしなくて良い社会になること」、山口さんは「嘘が白日のもとにさらされる日が必ずくるでしょう」などと訴え、結審した。

判決は2022年1月25日に言い渡される。

伊藤さんは意見陳述に立つと、「傷つくことや失うことがあることも想像できたので悩んだが、名乗り出たのは被害を否定してはいけないと思ったため」だと述べ、次のように訴えた。

「準備書面や書証などの(山口さん側の)攻撃的な資料が届くたび、また新たな加害が行われているように感じ、苦痛の日々を過ごしてきました」

「被害者が司法できちんと守られること、そしてこれ以上『真の被害者』という勝手なステレオタイプによって、誰かをおとしめるような出来事が起きないことを願っています」

その後に意見陳述した山口さんは「(伊藤さんには)たくさんの嘘や矛盾がある」などと反論した。

「自分の記憶を書き換え、ありもしないレイプ被害を作り出しました。あなたの嘘と思い込みで、私は社会的に殺され、取り返しのつかない被害に苦しめられています」

「少なくともデートレイプドラッグを盛られた証拠はないという客観的事実、朝の暴行などはまったくなかったという真実に正面から向き合ってください」

これまでの経過

一審判決によると、伊藤さんは2015年4月、就職相談のために、当時TBSのワシントン支局長だった山口さんと会った。東京都内で食事をし、2軒目の寿司屋で飲食した後、山口さんが宿泊していた都内のホテルに向かった。

伊藤さんは、寿司屋で記憶を失い、目を覚ますとホテルのベッドにおり、レイプされていることに気づいたと主張している。

山口さんは2019年2月、伊藤さんによる記者会見などで名誉を毀損され、社会的信用を失ったとして、慰謝料1億3000万円や謝罪広告の掲載を求めて反訴した。

東京地裁は2019年12月、一審判決で「酩酊状態で意識のなかった伊藤さんに、山口さんが合意のないまま性行為をした事実が認められる」として、山口さん側に330万円の損害賠償の支払いを命じた。

一方、名誉毀損だとして反訴していた山口さん側の請求は棄却した。

山口さんはこの判決を不服として、2020年1月に控訴していた。