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「当たり前が『当たり前でなくなっている』」。日本で活躍するイラン出身の女優の言葉

女優のサヘル・ローズさん「このような文書を書かなければいけない、そんな時代になっていることを悲しく感じてしまいます」

テレビや舞台で活躍するイラン出身の女優、サヘル・ローズさんが1月10日、インスタグラムを更新し、アメリカとの間に緊張関係が続く母国をめぐる情勢を受け、思いをつづった。

文章は「日本の皆さん、世界中の皆さん、友人たちへ」と書き始めた。そして、サヘルさんはまず「一緒に生きてくださっている事や私たちの事を考えていてくださっているだけで心から救われています」などと、世界の人々がイランに対して思いを寄せてくれていることに感謝した。

「でも」と続け、「平和への道のりはいつも霧がかかっている。世界を難しく感じる事がある」とし、こう心境を書いた。

「社会全体がいまの現状をしっかり監視するだけでも違っていきます」「様々な角度から皆さんも世界情勢に感心を持っていてほしい」

サヘルさんは幼少時代より孤児院で育ち、養母となる女性に引き取られた。その後、養母と2人で来日し、いまは女優として活躍している。

テロや内戦、戦争が生んだ結果を見る中で、それらによる被害がこれ以上生まれてほしくないとの思いとは逆に方向に世界情勢は進み「本当に辛くなる」と吐露。こう結んだ。

戦争を経験してほしくない。誰にも。


戦争にも紛争地にもいってほしくない。誰にも。


同じ苦しみを広げたくない。誰にも。


帰る祖国、帰れる故郷、待っていてくれる家族が全ての人間には与えられるべき。奪われていい命もない。


こんな当たり前が『当たり前でなくなっている』


このような文書を書かなければいけない、そんな時代になっていることを悲しく感じてしまいます。

インスタに投稿された全文は以下の通り。

日本の皆さん、世界中の皆さん、友人たちへ

イランのために祈ってくださり
イラン国民に思いをよせてくださり

本当に感謝しております。

一緒に生きてくださっている事や
私たちの事を考えていてくださっているだけで
心から救われています。
世界から多くのエネルギーをいただいています。

イランは本当に愛されているのだと
私は感じています。

でも、
平和への道のりはいつも霧がかかっている。
世界を難しく感じる事があります。

一般市民の声が権力の耳に届くのは難しい。
しかし、国外からの声は強いパワーになります。

社会全体がいまの現状をしっかり監視するだけでも違っていきます。

国民の声や言葉が見落とされた瞬間、
国家に人権を見放された瞬間が一番怖いのです。
だからこそ世界の視界にしっかり入っていることが生きるためには大切。

もちろん、私の言葉がすべてではありません。
様々な角度から皆さんも世界情勢に感心を持っていてほしいです。

同じ事を繰り返してはいけない。
私は去年、ヨルダン、イラクで出会った祖国を追われた人々
居場所を失い、家族を失った方々にお会いしました。

テロ、内戦、戦争が生んだ結果をわずかですが私なりにみてきました。
私自身も、
私だけではありませんが、
戦争によって孤児になってしまった子どもたちが大人になり
ここに居場所や幸せを探して歩いています。

様々なトラウマと痛みを抱えながら。
二度と同じ事が起きて欲しくないと祈りながら。

でも、思いとは反対方向へ向かう世界情勢をみていると
本当に辛くなります。戦争を経験してほしくない。

誰にも。

戦争にも紛争地にもいってほしくない。

誰にも。

同じ苦しみを広げたくない。

誰にも。

帰る祖国、帰れる故郷、
待っていてくれる家族が
全ての人間には与えられるべき。

奪われていい命もない。

こんな当たり前が『当たり前でなくなっている』

このような文書を書かなければいけない、そんな時代になっていることを悲しく感じてしまいます。