「殺されたのは私だったかも」という政治家。植松聖被告の”死刑判決”の意味

    いずれも重度の身体障害のある参議院議員は、植松聖被告の「死刑判決」をどう見たか。

    神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、元施設職員の植松聖被告が入所者19人を刺殺し、職員を含む26人に重軽傷を負わせた事件。横浜地裁は3月16日、植松被告に死刑判決を言い渡した。

    判決を受け、重度の身体障害がある参院議員2人(ともにれいわ新選組)が、コメントを出した。

    Kensuke Seya / BuzzFeed

    木村英子議員舩後靖彦議員が、それぞれのHP上でコメントを発表した。

    生後8カ月の時の事故で脊髄を損傷し、車いす生活を送る木村議員は、今回の判決に対して「とても恐怖を感じます」との感想から始めた。

    家族が介護できない場合、常に介護が必要な重度障害者は「施設しか生きていく場所がない」とし、自身も施設に預けられた過去を振り返った。

    施設は「いじめや虐待が起こってもおかしくない」

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    木村英子議員

    施設や養護学校で、職員からのいじめや虐待を受けたといい、施設での生活を、こう綴った。

    「職員の顔色をうかがいびくびくして過ごさなければならない牢獄のようで、ベットの上で天井を見つめる生活が一生続くと思っただけで心が死んでしまいそうな毎日でした」

    「施設の生活は『好きな物を食べたい、外へ遊びに行きたい』そんなあたりまえの望みすら叶わない世界なのです。そこに長く入れられたら希望を失っていく人は沢山います」

    「そしてそこの障がい者を介護している職員も初めは志をもって接していても、家族でさえ担いきれない介護なのに、限られた職員の人数で何十人もの障がい者をみなくてはならず、トイレ、食事、入浴と繰り返すだけの毎日の中で、体力的にも精神的にも疲弊し、いじめや虐待が起こってもおかしくない環境なのです」

    「第二、第三の植松被告が生まれてくる」

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    そんな環境の中で、植松被告が障害者の殺害を「正義」と捉え、死刑を恐れない「使命感」に走ったことについて、「私は恐怖を感じずにはいられません」と心境を語った。

    「私は今回の判決で植松被告が罰せられても、今の重度障がい者が隔離され施設しか行き場が無い現状が改善されない限り、第二、第三の植松被告が生まれてくると思います」

    「障がい者と健常者が分けられ同じ社会で生きにくくされている事の弊害が、残虐な事件を起こした植松被告を生み出してしまった原因だと私は思えてなりません」

    「殺されたのは私だったかも」

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    舩後靖彦議員

    一方、舩後議員は、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う。人工呼吸器をつけ、木村議員と同じく車椅子を使っている。

    植松被告は「意思疎通できない重度障害者は生きる価値がない」と主張した。

    それに対し、舩後議員は「被告人に殺されたのは私だったかもしれません」「被告人を到底、許すことはできません」と綴った。

    人を変える「上下関係」

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    舩後議員は、ひらがななどが書かれた「透明文字盤」を使い、介助者を通してコミュニケーションをとる。

    許せない。しかし、植松被告の罪を裁くだけでは、「障害者への差別、命の選別という問題が解決する訳では決してない」と指摘。

    自身も施設に入所していた時、職員から虐待を受けた経験があるといい、施設においては、職員と障害者の間に「上下関係」が生まれやすいという問題点をあげた。

    「結果として、被告人のような『重度障害者は、生きている価値がない』と偏った思想を生んでしまう土壌になってしまうのではないかと考えています。施設という場所は・・・。申し上げるまでもなく、これは『やまゆり園』だけの例外的な問題では決してありません」

    「裁判が一つの節目を迎えたことを機に、命の価値に序列をつけず、誰も排除しない社会をつくるためにどうしたらよいか、皆様と一緒に考えてゆきたいと思っております。最後に、『命の価値は横一列』をこれからも私は、主張し続けてまいります」

    バズフィード・ジャパン ニュース記者

    Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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