鉄道博物館で盗難、悪質ないたずらが発生 悲しみの声相次ぐ

    4つの被害が発生し、一部で公開を中止する。子どもと来館予定だった親などが悲しんでいる。

    貴重な鉄道車両を展示する「鉄道博物館」(さいたま市)は1月2日、展示している鉄道車両の部品が盗難され、車両に悪質ないたずら被害を受けたと発表した。

    当分の間、一部の車両公開および定期イベントを中止するという。

    鉄道博物館は2007年10月にオープンした。

    「鉄道」「歴史」「教育」をコンセプトに、明治時代初期から現代までの実物の鉄道車両41両を展示。模型やシミュレーションなどを活用して、鉄道の原理やしくみ、最新の鉄道技術についても紹介している。

    発生した4つの被害

    発表によると、2018年12月28日午後4時20分ごろ、館内の車両ステーション1階に展示している「クモハ455形電車」と「クハ481形電車」でいたずら被害に遭った。前者においては、車両部品の盗難被害も発生した。

    具体的には以下のような被害だ。

    【クモハ455形電車】

    1.通常は施錠しており、立ち入れない乗務員室扉をこじ開けられ、車両正面の列車種別方向幕を「急行」から「普通」へ転換された。

    2.ホームと反対側の乗降ドアの封印を破り、鍵がこじ開けられ、乗降ドアが1センチほど開いていた。

    3.ホーム側乗降ドア脇に掲出していた列車愛称板「まつしま」(レプリカ)が盗難に遭い、別の列車愛称板が掲出されていた。

    【クハ481系形電車】

    4.通常は施錠しており、立ち入れないトイレの引戸をこじ開けられ、行先表示器が「ひばり仙台行」から無地の状態に変更された。無理矢理回転させたことで、表示幕が噛み込んでしまい、皺が入っていた。

    館長の思い

    被害を受け、鉄道博物館の宮城利久館長は「到底看過できるものではない」とのコメントを発表。思いを綴った。

    当館としては、来館されるお客さまに鉄道の歴史や仕組みを身近に感じていただくため、収蔵車両及び資料を可能な限り公開しています。


    しかし、このような犯罪行為や悪質ないたずらによって物的被害がもたらされれば、収蔵資料等の公開は限定的にせざるを得ず、大多数の良識あるお客さまに多大なご迷惑をおかけすることになり、当館として到底看過できるものではありません。

    同館はすでに被害届を警察に提出。原因究明と解決に向けて取り組んでいく。

    また、展示車両の保護と事故防止の観点から、1月3日から当分の間、被害に遭った2種の車内公開や、別の4種の電気機関車の運転室公開などを中止するという。

    公開再開の目処は立っていない

    Facebook上では、子どもと来館予定だった親が「心無い方の一つの行動で、来館を楽しみにしている子供や鉄道ファンを悲しませないで」とコメント。

    鉄道ファンからも「鉄道を愛する者として許せない」などといった加害者を非難する声が相次いでいる。

    公開を中止した項目の再開は未定だ。今後、改めて告知するという。

    宮城館長は「ご来館のお客さまにはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどお願いいたします」と呼びかけている。