大分で土砂崩れ、救助犬も捜索 レスキュー隊員が語る現場の厳しさ

    5人の安否がわかっていない。

    4月11日午前3時40分ごろ、大分県中津市耶馬渓町金吉で、住宅の裏山が幅約200メートルにわたって崩落した。

    住宅4棟が土砂にのみ込まれ、3世帯計5人の安否がわかっていない。警察や消防、自衛隊などが懸命な捜索活動を続けている。

    現場は中津市中心部から南西に約20キロ離れた山間部にある小集落。

    周辺ではここ数日、雨が降っておらず、崩落の前兆もない中で土砂崩れが起きた。

    裏山は、幅約200メートル、高さ約100メートル、奥行き約200メートルの範囲で崩れているという。

    巻き込まれた4世帯のうち、1世帯4人の避難は確認できている。しかし、残り3世帯の21歳〜90歳の男性1人、女性5人の計6人と連絡が取れない状況となった。

    橋本アヤ子さん(86)、江渕めぐみさん(52)、江渕優さん(21)、岩下アヤノさん(90)、岩下義則さん(45)、岩下愛子さん(76)で、男性1人と女性5人だ。

    その後、捜索活動により、岩下義則さんが現場で見つかり、死亡が確認された。

    大分県は午前5時40分、県災害警戒本部を設置。さらに、自衛隊に災害派遣を要請し、陸上自衛隊別府駐屯地の隊員たちが現場に向かった。

    NPOらが合同レスキューチーム派遣

    また、中津市からの要請を受け、国際プラットフォーム「アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)」と認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)」、公益社団法人「シビックフォース(CF)」は合同レスキューチームを編成。ヘリコプターで現地に向かった。

    レスキューチームは10人で、救助犬3頭もいる。

    災害救助犬のハルクとともに現場に入った、PWJの「ハンドラー」である大西純子さんは、BuzzFeed Newsの取材に、捜索の状況を語った。

    午後4時半現在、警察と消防、自衛隊と協力して活動している。まずは斜面を向いて左側にある住宅から捜索活動を開始したという。

    岩下義則さんの遺体が見つかった場所だ。

    難航する作業

    大量の木や岩が入り組んでおり、救助犬が入れる隙間はほとんどない状態だった。

    そのため、警察と消防がスコップを持って隙間に入って、土砂の掻き出しをしているという。

    今回の土砂災害の特徴を大西さんは「山肌がぼこっとえぐり取られ、家の上に落としたように見える」と表現する。

    何層も重なっている土と岩と木

    「地中深くから削れ、滑って落ちてきている状況です。土と岩と木が、ミルフィーユのごとく重なっています」

    「さらに土が軟らかく、重機が入るほど硬くなって密閉されてしまいます。なので、救助犬が臭いを嗅ぎとりづらく、救助犬による捜索は難しくなると思います」

    できるだけ長く捜索活動をする

    合同レスキューチームは現在、待機しており、要請があれば活動を再開する。日が暮れるまで作業を続け、明日も要請に従って作業に当たる方針だ。

    大西さんは「早く見つかってほしい」と願う。

    「今は待機中ですが、役に立てるのであれば、捜索活動に懸命に当たりたいと思っています」

    BuzzFeed JapanNews