北朝鮮のミサイルはすでに私たちの生活に深刻な影響を与えている 学校現場では

    「不安を感じている生徒たちを登校させるわけにはいきません」

    北朝鮮が9月15日午前6時57分ごろ、弾道ミサイルを発射した。午前7時16分ごろ、襟裳岬から東に約2200キロの太平洋上に落下。通勤通学の時間帯に、避難を呼びかける「Jアラート」が鳴り響いた。

    日本への落下物や航空機・船舶への被害は確認されていない。しかし、生活への影響はすでに出ている。特にJアラートが発令された北部12道県では切実だ。

    例えば、学校現場だ。

    ミサイル発射により、多くの学校では、生徒たちを自宅待機させるなどの対応をとった。

    北海道の私立札幌新陽高校は午前7時10分ごろ、全校生徒619人と教職員に自宅待機を指示した。安全の確認が取れたため、午前8時に自宅待機の解除と1時間遅れで開校する内容を通知した。

    ミサイル発射直後の迅速な判断だったが、それでも、荒井優校長はBuzzFeed Newsに「通知が遅れた。反省点がある」と語る。

    「前回のミサイル発射による経験から、緊急メールのシステムが必要だと思いましたが、整備が間に合いませんでした」

    Jアラートの発令後、安全確認が取れれば少なくとも1時間遅れで開校するという今回の判断基準は、前回のミサイル発射を受けて決まった。

    「前回の時点で判断基準はありませんでした。不安を感じる生徒を登校させるわけにはいきません。そのためPTAと意見交換をして判断基準を作ったんです」

    緊急連絡するツールの整備が間に合わなかったため、荒井校長はまずはTwitterとFacebookを使って自宅待機の指示を速報した。

    新陽高校では、普段からソーシャルメディアを使った情報発信に取り組んでおり、特にTwitterは多くの生徒が使っているため、有効だと考えたという。

    新陽高校の生徒のみなさんへ 6:57に北朝鮮がミサイルを発射し、北海道、東北が対象になっていましたが、北海道上空を越えたと発表されました。詳細がわかるまで生徒は自宅待機とします。

    日本上空を通過した午前7時14分には「すでに登校中の生徒で、自宅に戻るよりも学校に来た方が近いところにいる場合は、気をつけて学校に向かってください。政府からはすでに建物に避難はしなくて大丈夫と言われています」とツイートした。

    その後も発信を続け、午前8時にHPで登校時間変更を通知した。

    全員が登校時間の変更を知ることができたわけではない。だからこそ、緊急連絡手段の整備を急ぐ。

    授業は、午前10時にスタート。交通機関などの影響による遅刻や、家庭の判断による欠席の場合は「インフルエンザ等の出席停止措置」と同様の扱いにした。各クラス数人ずつ欠席者がいるという。

    「生徒たちは、学校に着いてホッとした表情をしていました。1限のみしか削らなかったので補講は考えておらず、大きな支障もないと思います」

    ミサイル発射のたびに、通学に支障が出るようであれば、学校生活への大きな負担となる。そして、現状ではその判断と対策は学校現場に任された状態だ。

    「ミサイル発射が今後も頻繁に続くようであれば、生徒たちに支障が出てしまいます。子どもたちの安全と安心を預かる身として、若い世代に不安を感じさせてはいけません。反省点を生かした対応が必要です。それが大人の責任だと思います」


    ミサイル発射後にインドから帰国した安倍晋三首相は、ミサイル発射の動きは完全に把握して万全な体制を取っていたと説明した上で、次のように非難した。

    「北朝鮮の暴挙は断じて容認できません。今こそ団結が求められている。北朝鮮がこの道をさらに進めば、明るい未来はないと理解させなければなりません。引き続き、緊張感を持って国民の安全安心の確保に万全を期してまいります」

    北朝鮮は9月4日には6回目の核実験を実施。核ミサイル開発が進んでいる。

    BuzzFeed JapanNews