日大アメフト問題で悪質タックルの指示を認定 「指導者の資質が決定的に欠けている」

    日大の第三者委員会は、内田正人前監督、井上奨前コーチの指示だったと認定した。

    日本大学アメリカンフットボール部による悪質タックル問題で、日大の第三者委員会は6月29日、記者会見を開いて調査の中間報告を発表した。

    選手の行為を「極めて危険なタックル」とし、内田正人前監督、井上奨前コーチの指示だったと認定。両氏の弁解は信用できず、「指導者の資質が決定的に欠けている」と厳しく指摘した。

    タックルした選手は5月22日に記者会見を開き、頭を下げて謝罪し、悪質なプレーに及んだ経緯を次のように説明していた。

    この試合の数日前から「やる気が足りない」といった理由で練習に参加させてもらえない状況にあった。当時は試合に出たい一心だったという。

    「試合前日の練習後、井上コーチから『お前をどうしたら試合に出せるか監督に聞いたら、相手のクオーターバックの選手をワンプレー目でつぶせば出してやる』と言われました」

    「『クオーターバックの選手をつぶしに行くので使ってください、と監督に言いに行け。相手がけがをして、秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう』と言われました」

    5月6日の試合当日を迎えた。メンバー表に自分の名前がないのに気づくと、コーチに「今、言ってこい」と話され、内田監督に「クオーターバックの選手をつぶしに行くので使ってください」と言った。すると「やらなきゃ意味ないよ」と返されたという。

    6月29日の中間報告で、この選手の説明を「合理的かつ自然」と認めたが、内田前監督、井上前コーチの説明は「信用できない」と発表した。

    そして、「自らの責任を認めるような発言をする一方、責任を免れて当該選手に責任を押し付けるような発言をしたのは極めて悪質である」と姿勢を責めた。

    「指導者と選手」という力関係にも言及し、反則行為が指示によるものだったと認められると決定づけた。

    また、悪質タックルが問題になった後、一部の日大関係者がこの選手に責任を押しつけ、前監督と前コーチの指示はなかったことにしようと不当な介入をしたとも報告があった。

    第三者委員会は7月下旬をめどに日大のガバナンス体制と再発防止対策などを踏まえた最終報告をする予定だ。