新型コロナウイルスは、「コロナ離婚」という言葉を生むほどカップルの関係にも影響を与えた。
一方で、ある女性同士のカップルは違った。かえって幸せを実感したという。
「幸せやねぇ、2人で過ごせて幸せやねぇ」。そう語り合いながら、外出自粛の日々を過ごした。幸せとは何か。2人の日常をのぞいた。

2人の関係は、ポチさん(仮名、33歳)の一目惚れからはじまった。
パートナーのタマさん(仮名、25歳)が2017年、同じ職場にやってきてすぐに恋心が芽生えた。
顔、声、仕草まですべてが可愛く思えたという。
ポチさんは、BuzzFeed Newsの取材に「性格的に我慢できなくて。すごい押しました」と話しながら笑う。
出会って1週間で告白したその後
たわいない会話から仕事の悩みを聞いて、信頼関係を築いていった。
そして、出会って1週間で、ポチさんが告白した。
ただ、これまで恋愛経験がなかったタマさんにとって、ポチさんは「職場内の数少ない女性の同僚」という印象しかなかった。
タマさんは、女性を恋愛対象として自認しているわけではない。だから、なおさら突然の告白に驚いたという。
そこで、ポチさんはお試しで付き合うことを提案。タマさんは受け入れた。
「強引な人やなーと思いましたね」とタマさんは笑う。

ポチさんは幼稚園生の時、女性が好きだという気持ちに気づいたという。
また、男友だちとチャンバラをして遊ぶことや、黒色のランドセルを好んだ。高校時代には、スカートを履くのが嫌で、精神的な苦痛を味わいもした。
そんな様子を見た家族もポチさんのことを理解してくれている。
「トランスジェンダーのFtM(女性として生まれ、性自認が男性である人)かと思ったんですが、違うと感じています。体に嫌悪感があっても、メスを入れて体を変えたいとは思わないんです」
「この先も女性として生きていくのだと思います。私は、服装や仕草を男性らしくするだけで十分です」
24時間、一緒に過ごすということ
女性を恋愛対象だと自認しているポチさん、そして、いまだに性自認や性的指向がわからないというタマさんの2人は、カップルとして生活していくことになった。
交際して2年が過ぎたある日のデートの帰り道、ポチさんが投げかけた。
「それぞれの家に帰るのが寂しいね。一緒に住もうか」
新居に引っ越し、2人で家具や家電を選んだ。新生活を送るにあたって、わくわくが止まらなかった。
そして、昨年8月から同棲生活がスタートした。

職場も自宅も同じになった。それまでは考えられなかった生活に「愛が深まっていきました」とポチさんは言い、タマさんも「嫌なところが、まだ見つけられていないんですよね」と照れながら話す。
「同棲前は、帰る時間が近づくと、寂しさだけが募っていました。それが、ちょっと疲れれば、『帰ろか』とすぐに言えるし、『早くご飯食べよか』とも言えるようになりました」
ただ、同棲生活を始めた半年後、新型コロナウイルスが世界各地に猛威を振るった。
4月には感染防止策から仕事が休業になり、3週間ほど自宅で引きこもる生活を2人で送ることになった。
共にいる時間はより増え、24時間、常に一緒に過ごした。家事をする幸せ、真面目な話題を語り合う幸せ、寝る前に「おやすみ」と言える幸せ...。2人にとっては、かけがえのない日々だったという。
ポチさんは言う。
「毎日、『幸せやねぇ、2人で過ごせて幸せやねぇ』と話していました。一緒にいられる時間が長くなって、幸せが増えましたし、『2人なら大丈夫やろ』と笑って過ごしていました」
光る指輪、幸せのカタチと実現させたい夢

2人の左手の薬指には指輪が光る。一生涯、ともに連れ添って生きたいと考えている。
ただ、今の日本では結婚ができないため、「現時点では他人です」とポチさんは声を落とす。
というのも、日本ではまだ同性婚が法制化していないからだ。だからこそ、早く実現するよう願ってやまない。
「私の方が歳上だから、歳を取るのも早く、病院で入院した時を考えても、制度上は他人ということで不便が多いです。だから、結婚したいんです」
「パートナーがたまたま同じ性別なだけです。同性同士が結婚しても、誰にも迷惑かけないじゃないですか。より幸せなほうがいいはずです。結婚したら、不幸になることはないですし、何かあったら対応できるように、早く同性婚が実現してほしいです」

2人には、もう一つの夢がある。自宅の部屋を漫画で埋めることだ。
「漫画が2人の共通の趣味なんです。だから、本棚がパンパンになってきています。いつか部屋を改造したいなと思っていて、どうレイアウトしようかと話しています」
「一個ずつの幸せは、大きくなくていいんです。一緒に家に帰るとか、目の前でご飯を美味しいと言えるとか。そんなささいなことの積み重ねが、幸せだと思うんです。だから、私たちは毎日が幸せなんです」

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