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著名人らによる「#子連れ会議OK」の輪が広がる 熊本市議の子連れ出席をうけ

「不安ベースではなく、希望ベースで考える世の中に」

11月22日に開会した熊本市の定例市議会で、緒方夕佳議員が生後7カ月の長男を抱いて議場に入った。しかし、子どもを連れての出席は認められなかった。

この問題をうけ、Twitterではある動きが起きている。

そもそも議場でなにが?

そもそも熊本市議会の規則では議員以外を傍聴人とし、傍聴人は議場に入ることはできない。

毎日新聞によると、緒方議員は妊娠がわかった2016年から、議会事務局に子どもを連れての本会議出席や、市議会への託児所設置を求めていた、と説明。前向きな回答がなく、今回の行動に踏み切ったとしている。

行動の理由については、NHKに対し「子育て世代の代表として、子どもと一緒に議会に参加して発言できる仕組みを整えるよう主張したかった。子育て中の女性が活躍できるような市議会になってほしい」と説明した。

緒方議員は、議長に退場を促されたが聞き入れず、協議に入った。結局、同伴は認められず、子どもを友人に預けて出席。子どもが議場に入ったことではなく、開会を遅らせたことを理由に、処分が検討されている。

「子連れ気にしませんよ」 Twitterで動きが

これをきっかけにTwitterでは著名人を中心にある動きが広がってる。「#子連れ会議OK」だ。

自身との打ち合わせや会議などの場に、子どもを連れてきても構わないとする「宣言」だ。

宣言は、映画監督の紀里谷和明氏から始まった

この際だから言っときます。紀里谷と仕事をされる方はどなたでも子供連れてきてもらって結構です。打ち合わせ、インタビュー、撮影、全く気にしませんので、お気軽に^_^

「本当に素敵だなあ。二番煎じだろうが何だろうが、私も乗っからせてください」と作家の乙武洋匡さん

紀里谷さんのこの“宣言”、本当に素敵だなあ。二番煎じだろうが何だろうが、私も乗っからせてください。私との打ち合わせやインタビューなど、すべて子連れ可ですので、どうぞご遠慮なく! https://t.co/eWHrgul2yo

漫画家の瀧波ユカリさんもツイート

「子連れで会議OKとかそういうことが横行したら社会が立ちゆかなくなる!」って不安ベースで考えるんじゃなくて「それが明らかにだれかを傷付けたり不幸にするわけじゃないならやってみよう。やることでわかることが必ずある」って希望ベースで考える世の中になっていくといいな

今回の件をうけ、認定NPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さんは「赤ちゃんを市議会に連れ込むことは、悪いことなのか?」などを執筆し、問題提起してきた。

駒崎さんも「この輪が広がりますように」と呼びかけた

映画監督の紀里谷さん、作家の乙武洋匡さんが「子連れ会議OK宣言」をした。 僕もそれに続きたいと思います。 外部の企業や個人・団体の皆さん、僕との打ち合わせ・取材・講演等には子ども連れ、完全にOKです。 この輪が広がりますよう… https://t.co/JZnrrKShHN

「#子連れ会議OK」の動きについて、駒崎さんは「これまで当たり前だとされていた抑圧を『実は違うんじゃない』と照らし出す必要性があると思う」とBuzzFeed Newsの取材に語る。

影響力のある人たちの動きに「心強く思いました」とした上で、かつてアメリカで公民権運動のきっかけの一つを作ったローザ・パークス氏を引き合いに出し、こう訴える。

「『バスを降りろ』という白人運転手に対し、ローザ・パークスが『降りません』と言い放ち、投獄されるという『パフォーマンス』がなければ公民権運動の広がりはなかったでしょう」

「同様に、誰かが異議申し立てをした際に、それを受けて社会側がアクションを取り、これまで当たり前だとされていた抑圧を『実は違うんじゃない?』と照らし出す必要性があると思います。ローザ氏の異議申し立てによって、黒人への差別構造が照らし出されたように」

「#子連れ会議OK」は徐々に広まり、「素敵な輪が広がってる!」「0歳児ママにとっては、このタグまじありがたいわぁ…」などの声も見られる。

「不安ベースではなく、希望ベースで考える世の中に」

駒崎さんは「不安ベース社会から、希望ベース社会へ。『とりあえずやってみる』が社会にアップデートをもたらす。そう思いますね」とも話す。

願うのは、子育てしづらい社会が少しでも変わることだ。最後にこう語る。

「『なんで子連れで会議しちゃダメなんだっけ』『本当にそれって失礼なの?』『別に良くない?』。こういう問いを広げていき、社会的な行動変容をもたらしていくべきだと思います」

BuzzFeed JapanNews