川崎殺傷事件、おじとおばが容疑者に渡した手紙への返事とは

    伯父と伯母は「直接の会話がほとんどない状態」だったという。

    川崎市登戸の路上で、スクールバスを待っていた児童ら19人が相次いで殺傷された事件。

    一夜明けた5月29日、川崎市が記者会見を開き、岩崎隆一容疑者(51)の親族から、十数回にわたって相談を受けていたことを明らかにした。

    AFP=時事

    会見した川崎市の担当者らによると、市が相談を受けた内容は、訪問介護の導入に関するものだった。

    川崎市麻生区の自宅で岩崎容疑者と同居していた、いずれも80代の伯父と伯母は高齢となり、介護を必要としていた。

    ただ、岩崎容疑者は仕事に就かず、「引きこもり傾向」にあり、「直接の会話がほとんどない状態」だったという(いずれも市側の説明)。

    市に相談をしたのは、岩崎容疑者と伯父と伯母3人の親族。

    この親族は、岩崎容疑者が「引きこもり傾向」のため、伯父や伯母を訪問介護をするスタッフが家に入ってきても大丈夫なのかも気になり、相談したという。

    「容疑者の将来の心配をしていたようだった」

    AFP=時事

    相談回数は、2017年11月から2019年1月までで、面談8回、電話6回の計14回。最初は川崎市精神保健福祉センターに、親族から電話で相談があったという。

    岩崎容疑者の気持ちを確認する方法を模索していたといい、市の担当者はこう話した。

    「(伯父と伯母が)高齢になり、容疑者の将来の心配をしていたようです。容疑者を気遣う内容の相談がありました」

    伯父と伯母は、岩崎容疑者を「あまり刺激したくない」と考えていたという。市はそれを尊重し、岩崎容疑者本人と直接コンタクトを取ることはなく、親族と面談や電話などでやりとりをしていた。

    AFP=時事

    手紙とその返事

    市は伯父や伯母への訪問介護サービスを、2018年6月から始めた。ふたりは市の提案を受けて、2019年1月、岩崎容疑者の部屋の前に手紙を置いたという。

    すると、数日後、岩崎容疑者は伯母に対して直接、次のように語ったという。

    「自分のことは、自分でちゃんとやっている。食事や洗濯を自分でやっているのに、引きこもりとはなんだ」

    この答えに対し、市の担当者はこう言う。

    「親族は本人の気持ちが聞けて良かったと思っていたようです。本人なりに考えて今の生活を選び、関わりを断っていると考え、『しばらく様子を見るつもり』との連絡がありました」

    そのため、市もその意向を尊重し、様子を見る判断をしたという。

    Kensuke Seya/BuzzFeed Japan

    会見する、被害児童が通っていたカリタス学園の理事長(左)ら

    凄惨な事件に対し、市の担当者らは「我々としても憤りを通り越した悲しい事件」「我々も非常に驚いているのが正直なところ」と語った。

    「なぜ事件を起こしたのかは不可解であり、最後の相談を受けた1月から何があったのかは知る由もない」

    「川崎市としても個人情報を含めて警察に情報開示をして、なぜ事件が起きたのかの解明につながればと思っています。情報を集め、時間をかけて検証していく。亡くなった方へのできることの一つだと思っています」

    バズフィード・ジャパン ニュース記者

    Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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