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【政見放送全文】自民党「日本の明日を切り開くのか、あの混迷の時代に後戻りするのか」

NHKで放送された自由民主党の政見放送、全文・文字起こしです。

7月21日に投開票される参議院議員選挙。それぞれの党は、一体どんな主張をしているのか。

NHKで放送された「政見放送」について、BuzzFeed Newsでは、公職選挙法と政治資金規正法上の政党要件(5人以上の所属議員がいるか、選挙で2%以上の得票を得た党)を満たす党および、改選前議席が存在する8党の全文文字起こしを掲載する。



自由民主党

総裁・安倍晋三首相と女性局長・三原じゅん子参議院議員の対談

三原:総理。今、国際情勢は、米中貿易摩擦、北朝鮮情勢、英国のEU離脱問題、緊迫する中東情勢など激動の中にあります。

こうした中で、G20大阪サミットの議長を務められました。手応えはどうでしたか。

安倍:世界は、結束できる。そう信じて精一杯、議長役を務めました。もちろん様々な議題について、一気に解決策を見出すことは難しいですが、日本は、あらゆる国と信頼関係があります。

この日本ならではの立場を活かして、最後の最後まで対立よりも、共通点を粘り強く見出し、経済・貿易・環境問題、女性の活躍など、力強いメッセージを出すことができました。

三原:特に、今回は貿易をめぐる対立が取り沙汰されましたが、どういった立場を主張されたんでしょうか。

安倍:世界は、自由貿易のもとで繁栄してきました。中でも日本は、自由貿易体制があったからこそ、ここまで発展してこれたのです。我が国の中小・小規模事業者の皆さんが、コツコツと作ってきた質の高い製品や、美味しい農産物を世界で売ることができるのは、自由貿易のおかげなんです。

三原:しかし、「自由な貿易が格差を拡大し、保護主義への誘惑が生まれる」。そういう指摘もあります。

安倍:だからこそ、貿易で生まれた富が、すべての人々に行き渡るルールを作ることが大切です。公正なルールが必要なんですね。この点は、私はトランプ大統領にはっきり申し上げているんです。

三原:そのトランプ大統領を大相撲に招待するなど、総理は蜜月ぶりを世界に存分に発信しておられますね。

安倍:米国は、唯一の同盟国です。万が一、日本が侵害を受けた時には、日本を守るために戦ってくれる。それが米国です。

大統領と信頼関係を作ることは、日本の総理大臣としての責務だと私は思っています。そしてもちろん、深い関係にあるからこそ、何でも率直に言い合える仲なんです。

三原:世界は、トランプ大統領のTwitterに釘付けです。これまでの大統領のイメージと異なり、型破りな方ですが、実際、大統領はどんな方なんでしょうか。

安倍:訪日の際、拉致被害者のご家族にお会いいただきました。予定の時間がきて、会議が終わりかけた時、トランプ大統領がわざわざ「全部言いたいことをお話しください」「どうぞ続けてください」と言って、じっと耳を傾け続けました。

そして、拉致被害者・恵子さんのお父様、有本さんが「お手紙をスタッフの方にお預けしました」と伝えたところ、大統領は「私に直接お渡しください」「帰ったら、ただちに机の上で読みます」と言って、直接、受け取られました。

数日後、自らの署名入りの返信を有本さんに送ってくれました。

三原:トランプ大統領が、拉致問題に関心を持ってくださるのは、ご家族も大変心強いと思います。

安倍:私は、初当選以来、25年以上、拉致被害者のご家族とともに、ずっと戦ってまいりました。私は総理となり、ご家族がご高齢となる中で、いまだに被害者の皆さんを取り返すことができない。本当に痛恨の極みです。

トランプ大統領だけでなく、習近平主席からも拉致問題について、金正恩委員長に伝えていただきました。私自身、「あらゆるチャンスを逃さない」との考え方の上に、拉致問題の解決に向けて、全力で取り組んでいく決意です。

三原:令和の時代が始まって、2カ月ですが、随分と世の中に浸透していますね。元号の制定は、大変な責任と重圧だったと思います。

安倍:おかげさまで令和を多くの国民の皆さまから評価・歓迎していただき、ほっとしています。

令和の時代を切り開く、若い人たちが評価してくれていることを聞いて、大変嬉しく思いました。

三原:新しい時代となりましたが、令和の時代にも安心できる、責任ある社会保障制度を作ることは、私たち政治家の大きな責任だと思っています。

しかし、一部の野党は、高齢者の皆さんにとって大切な年金を政争の具にし、具体的な政策も示さないまま、ただただ、不安を煽るだけの議論に終始していることは、大変残念に思っています。

私たちだって、高齢者の皆さんの年金を少しでも増やしたいと思っています。しかし、そんな打ち出の小槌はあるのでしょうか。

安倍:年金は、大切な老後の生活の柱です。しかし、その財源は、現役世代の保険料負担や税金です。負担を増やすことなく、給付だけを増やすことなどできません。

三原:そういうことを野党の皆さんも、有権者に隠すことなく、正直に語るべきだと思います。

一方で、我が国では、今後、急速に少子高齢化が進みます。支えられる高齢者が増える一方、支え手である現役世代は減っていく。そうすると、「年金が減っていくのではないか」と不安を持っていらっしゃる方は多くいらっしゃると思います。

安倍:その通りだと思います。逆からは言えば、政策次第で、年金を増やすことは十分に可能です。この6年間で、女性や高齢者の皆さんを中心に、新たに380万人を超える皆さんが、仕事に着きました。

支え手がしっかりと厚みを増やせば、お一人おひとりの保険料負担を引き上げなくとも、保険料収入が増えます。この春も、6年連続で今世紀最高水準の賃上げが実現しましたが、その結果、今年は年金額をしっかりと増やすことができました。

デフレから脱却し、働く皆さんの所得が上がれば、年金給付を増やすことができます。

三原:それでも国民年金(基礎年金)しか受給していない方や、低年金の方がおられます。

安倍:そうした方々にしっかりと光を当てていくのが、政治の責任です。アベノミクスの果実を生かして、必要な納付期間を25年から10年に短縮し、約60万人の皆さまに新たに年金を支給いたしました。

年金額が少ない皆さまに、今年10月から財源をしっかり確保して、最大年間6万円の給付金を支給し、しっかりと所得を支えてまいります。さらには、介護保険料も3分の2に軽減いたします。

三原:大切なのは実行であり、結果を出すことです。年金積立金の運用益は、この6年で44兆円増えました。民主党政権時代の10倍ですね。

安倍:年金の信頼性は、確実に強固なものとなっています。私たちの年金を充実する唯一の道は、年金の原資を確かなものとすること。すなわち、経済を強くすることです。

これからも安倍政権は、経済最優先で、年金の安心をしっかりと確保していきたいと思います。

三原:アベノミクスのもとで、経済は好調ですね。史上初めて47全ての都道府県で、有効求人倍率は1倍を超えています。

地方の観光地に、たくさんの外国人の方々が押し寄せ、賑わっているという話もよく聞きます。消費額にして4兆5000億円の一大産業が生まれ、地方経済も明るさを増しています。

安倍:「3本の矢」の経済政策によって、この6年で雇用は380万人、正規雇用も130万人以上増えました。一番嬉しかったのは、この春、高校・大学を卒業した若者の就職率が、過去最高水準であったことです。

若者が、自らの手で、自らの未来を切り開いていける。真っ当な日本経済を作ることができました。

三原:民主党政権時代、中小企業の倒産が、今より4割以上多かった。働きたくても仕事がない。若者たちは、どんなに頑張っても、就職内定が得られない。あのような時代に戻してはなりません。

アベノミクスによって、日本経済は一変しました。その果実が、全国津々浦々、できるだけ多くの人に行き渡るようにしたいですね。

安倍:アベノミクスの果実を生かして、初めて返済不要の給付型奨学金の創設や、5年間で50万人分の介護の受け皿を整備しています。成長の果実を教育や社会保障に大胆に投資してきました。保育の受け皿も53万人分、整備しました。

三原:そうした中で昨年、待機児童は6000人減少し、10年ぶりに2万人を下回りましたね。

安倍:子どもたちは、この国の未来そのものです。この10月からは、消費税を財源として、3歳から5歳までの幼児教育・保育を無償化します。

来年4月には、真に必要な子どもたちの高等教育の実質無償化もスタートし、子育て世代の負担を大幅に軽減します。

少子高齢化の時代にあって、安倍内閣は未来を担う子どもたちに、大胆に投資してまいります。

三原:このところ、その子どもたちが虐待を受ける悲しいニュースも相次いでいます。女性局では長年、児童虐待根絶のための「ハッピーオレンジ運動」に取り組んできただけに、本当に無念な思いです。

安倍:子どもたちの命を守るのは、私たち大人の責任です。何よりも命を守ることを最優先に、児童相談所の体制を抜本的に拡充し、自治体の取り組みを警察が全面的にバックアップすることで、児童虐待の根絶に向けて、総力を挙げてまいります。

三原:新しい令和の時代は、子どもたちの笑顔であふれる日本にしたいですね。

安倍総理は、内政では子ども、高齢者など弱い立場にある人の声に耳を傾けながら、できる限りの政策を進めておられます。

外交では、世界の真ん中で輝く、新しい日本外交の形を作ろうとしています。私たち与党も一丸となって、取り組んでいきたいと思います。

それに引き換え、野党は、日頃は与党の揚げ足取り。政策の議論を重ねないまま、選挙目当てで、人気取りだけの実現できるかも怪しいような政策を言い始める。

所属政党はコロコロ変わり、対案なしで何でも反対。やること全てがブーメラン。何度この光景を見たことか。こんな野党には、絶対に負けるわけにはいかない。心からそう思います。

安倍:この前の三原さんの参議院本会議での演説は、すごい迫力でしたね。国民の代表としての自覚。国会で議論に臨む姿勢。非常に印象的でした。

三原:野党に「恥を知りなさい」と申し上げたら、すさまじい反響でした。与野党において、建設的議論を行わせていただきたいと願っています。

さて、そろそろお時間です。総理、最後に国民の皆さんにメッセージをお願いします。

安倍:12年前の参議院選挙。私たちは大敗し、国会にもねじれが生まれ、そして、あの民主党政権が誕生した。決められない政治の下で、経済は低迷し、外交の存在感も失われました。

この選挙、問われるのは安定した政治の上に、日本の明日を切り開くのか。それとも、あの混迷の時代に後戻りするのか。皆さんのお力が必要であります。

選挙は、厳しい厳しい戦いです。どうか、自民党の候補者に、皆さまのお力を賜りますよう、よろしくお願いします。

期日前投票も簡単になりました。ぜひ、本日にでも、投票所に足を運んでいただきたい。どうか自民党に力を与えてくださいますよう、お願い申し上げます。