「最終責任者は…」 集中審議、麻生大臣の発言に変化が

国会での発言一つ一つが注目されている。

学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題。それを受け、参院予算委員会は3月19日、安倍晋三首相や麻生太郎財務相らが出席し、集中審議をしている。

改ざん前の文書に安倍首相の妻・昭恵氏の名前が書かれていた理由を「総理夫人だから」と財務省の太田充理財局長が明言するなどし、議論は紛糾している。

どんな話が世間を騒がしているのか。集中審議でわかった事実を含めて振り返る。

時事通信、BuzzFeed

1. 決裁文書は、計約300カ所で改ざん

時事通信

朝日新聞が3月2日、決裁文書に改ざんの疑いがあると特報したのをきっかけに、今回の集中審議までつながった。

財務省によると改ざんがあった14の文書は、78ページに上る。そのうち62ページ、約300カ所が、元の文書から変わっていた。改ざん時期は、森友問題が発覚した昨年2月から4月だった。

2. 改ざん前の文書の保存場所で食い違い

時事通信

財務省は、改ざん前の決裁文書は、職場のパソコンの個人フォルダに残っていたと説明していた。しかし、一部が本省の文書管理システムにあると3月15日、わかった。

「本省には文書は残っていない」などとしていたが、一転して太田充理財局長も書き換え前後の原本があると認めた。

文書管理システムに残っていたのは「特例承認の決裁文書」で、複数の政治家や昭恵夫人の名前が記されていたものだった。

3. 安倍首相は、改ざんの「可能性がある」と報告されていた

AFP＝時事

朝日新聞による報道の4日後の3月6日、安倍首相と菅義偉官房長官が杉田和博・官房副長官から報告を受けていた。財務省が最終的に事実関係を報告したのは11日だった。

財務省が調査結果を公表した約1週間前に改ざんの疑いを把握していたことになる。

改ざんの疑いがあると把握していたのにも関わらず、「なぜ国民に伝えなかったのか」と問われた安倍首相は集中審議で、「事実関係が明らかになった時点で、ただちに公表するのが一貫した方針」などと述べた。

4. 近畿財務局職員が自殺「このままでは自分１人の責任に」

時事通信

財務省・近畿財務局の男性職員が3月7日、神戸市の自宅で首をつり、死亡した。

男性は、上からの指示で「書き換えをさせられた」「このままでは自分1人の責任にされてしまう」とメモを残していた。昨年夏に電話で親族に「常識が壊された」「異動できずつらい」と話していたという。

5. 昭恵氏の名前を削除した日付

時事通信

決裁文書から昭恵夫人の名前が削除されたのは、昨年4月4日だった。太田理財局長が、集中審議で明らかにした。

昭恵夫人付の政府職員だった職員による、森友学園の籠池泰典前理事長へのファクスの文書が「行政文書に該当しない」とする答弁書を閣議決定した日だった。

6. 責任は誰にあるのか。麻生氏の発言に変化

AFP＝時事

麻生財務相は、財務省が文書の改ざんを公表した12日、誰に責任があるのか記者団に問われ、改ざん当時、理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官を名指しし、自らの辞任を否定した。

「書き換えは当時の理財局の一部の職員によって行われたので、最終責任者が理財局長である佐川ということになると思う」

集中審議で、現在もその考えが変わっていないか質問があり、「調査をしている段階なので、お答えできる段階ではない」「最終責任というか、責任は大きかった。今の段階では佐川が最終責任という可能性が大きい」と明言を避けた。