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積み重なる黒い袋 放射能汚染土はいま

写真とともに見ていく。

東日本大震災に伴う福島第一原発事故が引き起こした放射能汚染により、国と自治体は除染作業を急いでいる。

それに伴い、多くの汚染土と草木などの廃棄物が出ている。いわゆる「黒い袋」だ。

積み上がった袋はどこにいくのだろうか。写真とともに見ていく。

袋はいま、一時的な保管場所である仮置場や、一般家庭の敷地内や学校などの除染現場で保管されている。

放射能汚染は福島県を中心に広範囲に及んだ。つまり、汚染土や廃棄物が積み上がっているのは県内だけではない。

仮置場や、学校などの除染現場でどれほど保管されているのか。それを示した地図を見ると、北は岩手県、南は千葉県や埼玉県にも広がっている。

福島県内の保管量はもっとも多い。自治体だけでなく、国も除染・保管作業を担っており、環境省と福島県によると保管量は計約1330万立方メートルにのぼる。

一方、福島県外ではそれぞれの市町村が保管しており、栃木県が最多で千葉県、宮城県などと続く。

環境省によると、仮置場に置く袋の上下に防水シートを敷くなどの安全対策を講じ、定期的に空間線量率も測定している。

福島県楢葉町の仮置場にあった測定器は「毎時0.095マイクロシーベルト」を表示していた。

国は、被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないように、と毎時0.23マイクロシーベルトを除染の目安としている。

事実上の安全基準とされているが、原子力規制委員会は3月2日、基準の見直しの議論を始めた。住民の被ばく線量は、想定より数分の1にとどまるとの研究結果もあり、実際の被ばく線量に合わせて見直しを議論する。

このように各地に保管されている福島県内の袋は、行き場所が決まっている。

行き場所とは福島第一原発を囲む形で、双葉町と大熊町をまたいで整備中の「中間貯蔵施設」だ。

建設予定面積は計約1600ヘクタールで、約8割が民有地になる。2月末現在、全体面積の約53%を契約した。

最大で、東京ドーム18杯分となる推計約2200万立方メートルの汚染土などを保管する計画だ。

用地取得と施設整備を並行して進め、搬入完了を急ぐ。だが、仮置場や除染現場の解消の見通しは立っていない。

2015年3月から県内各地の袋が運ばれはじめ、17年に本格稼働した。同施設への累積輸送量は2月までに約70万立方メートル。

年々、輸送目標を上げていく計画で、月日が経つにつれ仮置場や除染現場での保管量が少なくなっている。

搬入されたものを土壌と草木などに分ける「受け入れ・分別施設」では1時間当たり約140トンの廃棄物を処理しているという。

「土壌貯蔵施設」は分別された汚染土を保管する。その他に中間貯蔵施設には、草木などの可燃物を焼却する「減容化施設」などがある。

あくまでも”中間”貯蔵施設。2015年3月から30年以内に県外で最終処分をすると法律で定められている。だが、処分地の選定は始まっていない。

環境省は「処分の具体的な方法は2025年度以降に決める」としている。

一方で、福島県外の汚染土などについては、地中に埋めることを念頭に最終処分方法を検討中だ。それまでは仮置場や除染現場などで保管することになっている。

※グラフにおける国実施分は2018年1月末現在、市町村実施分はいずれも2017年9月末現在。それぞれの単位は国が「袋」、各市町村が「立方メートル」としてデータを公表し、環境省は「1袋当たりの保管物の体積はおおむね1立法メートル」としている。そのため、福島県分に関して「立法メートル」で統一し、合算した。

BuzzFeed Japanは、Yahoo! JAPANの3.11企画「データで見る震災復興のいま」で、被災地の現状をグラフで紹介しています。

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