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無理なダイエットに走った女子高生 頼ったのはTwitterだった

「カリスマ」たちの中に「救ってくれた人」がいた。

Nozomi Shiya / BuzzFeed

無理なダイエットを経験した結果、一時は生理が止まるなど体も心もボロボロになった女子高校生がいる。

高校時代の2年間、ダイエットにのめり込んだ。絶食や、普段の食事を低カロリーな食品に置き換える「置き換えダイエット」…。試したダイエット法は多すぎて覚えていない。

ダイエット法を学ぶ主な手段はTwitterだったという。BuzzFeed Newsは、この女子高生に話を聞いた。

ダイエットを始めたきっかけ

「女の子にかわいく見られたい。自分自身でかわいいって思いたかったんです」

京都府で暮らす高校3年生のユキさん(仮名、17歳)がダイエットに興味を持ち始めたのは、1年生の夏にあった文化祭がきっかけだった。

ユキさんは文化祭で髪型をツインテールにし、セーラー服を着た。多くの注目を集め、特に女子の友だちから大好評だったという。

学校は私服で登校できるので、この格好で普段から過ごそうと決めた。 すると、欲が湧いてきた。

服装に見合うスタイルになりたい、女子からかわいいと言われ続けたいと。ユキさんは当時をこう振り返る。

「見た目から好かれるようになろうとしたんです。まず外見から好き嫌いを判断する人って多いじゃないですか。かわいいスタイルになるのは、女子に好かれる手っ取り早い方法だと思っていました」

当時の身長は152センチで、体重は42キロ。

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出する肥満度を測る国際的な指標「BMI」は18.18だ。

日本肥満学会の定めた基準では18.5未満を「低体重(やせ)」とし、22が最も病気になりにくい「標準体重(理想体重)」とされている。つまりユキさんは低体重に分類され、やせている。

ところが、ユキさんは見た目を強く意識するあまり、体重に満足できなかった。

「鏡を見ると、全身が太っているように見えて、気持ち悪かった。こんなかわいい服を着ているのに、目に毒やわーって。自分自身でかわいいって思いたいし、みんなからかわいいと言われたかったんです」

Twitterを活用したのは

本屋に入れば必ず美容・ダイエットコーナーで立ち読みし、インターネットでダイエット情報を検索しては読みふけった。ジムやダイエット指導を提供する有料サービスは利用せず、自分で調べて実践しようと考えた。アルバイトをしていたが、金銭的に余裕があるわけではない。

「頑張れば自分でなんとかできると思い、お金をかけたくなかったんです」

とりわけ参考にしたのがTwitterだった。

「インターネットのサイトやダイエット本はたくさんあるけれど、みんながどれを参考にしているのかはわかりません。Twitterだと実体験を話してくれるアカウントばかりだし、リツイートといいねの数で、どれほど支持されているのか判断できました。リプライでみんなが何を思ったのかも見られる。わかりやすいなって思いました」

どんなアカウントを信用したのか

ユキさんは、フォロワーが多いアカウントを「カリスマ」と仰いだ。

「カリスマ」とは、自らダイエットに成功し、なりたい理想の自分になった人のことだという。

ダイエット前と後の写真が、ヘッダー画像やプロフィール横の固定ツイートに載っており、まぶしかった。みんながうまくいくために自分の食事などの情報や叱咤激励の言葉を惜しみなく発信もしてくれる。

「みんなの憧れの存在ですよ。だからカリスマなんです」

ユキさんは「カリスマ」のアカウントが発信するダイエット情報を信用した。

その情報が本当に科学的に正しいのか、「カリスマ」が医師や栄養士などの免許・資格を持っているかわからない。そもそもアカウントは匿名で、写真が本人のものなのか、加工されているのかどうかもわからない。すべてが嘘なのかもしれない。

それでも、フォロワー数と他のユーザーたちからのリツイートなどの反応の多さが「信じていい」という証明に思えた。「いつか会ってみたい」という衝動に駆られもした。

「誰かに見られている」と思うと頑張れた

多くのユーザーたちが日々の体重や食事をツイートし、「がんばったね」とリプライやリツイートをすることで互いの努力を励まし合っていた。

ただ、その仲間に入るためには暗黙のルールがあった、とユキさんは言う。

それはダイエット専用アカウントを作ることだった。「本気」だと示さないアカウントによるリツイートやリプライは嫌がられるのだという。

ユキさんは普段から使っているアカウントとは別に、ダイエット専用のアカウントを作り、積極的にコミュニティに入っていった。

「私はプロフィールに『ダイエットアカウントです』と書いていました。美容を頑張る美容専用のアカウントを持っている人もいますよ。アカウントをわざわざ作らなきゃ仲間に入れてもらえないのって怖いですよね」

ダイエットアカウントを友人に教えはしなかった。そんないわゆる「裏アカ」で、日々の食事を写真とともに投稿していた。

「同じようにダイエットを頑張っている子が見れば、その食事がカロリーが高くてダメなものか、すぐわかります。私も人の食事を見てたし、そうやって毎回の食事が人から見られていると意識すると、無駄なものを食べちゃいけない、頑張れるって思えたんです。責任感みたいなものが生まれるんですよ」

それでもダイエットは止めなかった

Twitterで情報が入ってきたダイエット法は数え切れないほど試した。一日中、何も食べない絶食をしたり、一回の食事を低カロリーのスムージーに置き換えたり…...。

学校に行き、体型を意識していなさそうな友人を見れば「私とは意識が違う。かわいくなりたいって思わへんのかな」と内心でバカにした。

親に叱られても構わなかった。母親の手料理を「食べへんから!」と、やせたい一心で拒み続けた。

代償は大きかった

だが、頑張った分だけ代償は大きく、頭痛やだるさ、我慢できないほどの眠さが襲いかかり、生理は止まった。

学校の授業中は眠り続け、ふらふらになりながら自宅に帰るという繰り返しだった。

「なんとか歩けていたくらいでした。あまりにもしんどくて、死ぬかと思いました」

お菓子をどうしても我慢できず食べた日もあった。食事が喉を通れば、体に食べ物が入っている感覚が気持ち悪いと感じた。「食べてしまった」自分が嫌になった。吐き方をネットで調べて試みたが、吐けなかった。

苦しい月日を過ごし、体重計に目を落とせば、ダイエットを始めた頃から2キロ落ちていた。数字を見て嬉しさがこみ上げた。

しかし、理想の見た目にはまだ達していない。体も心も限界なのに。

出会った男性「講師」

Twitter

Twitterのタイムラインには食事や体重を写真が並ぶ。同じダイエット法を実践する仲間を募ったり、励ましあったりするアカウントもある。(※編集部で画像を一部加工しています)

Twitterのタイムラインを見れば、”意識が高い”人たちがいっぱいだ。

〈太っている人がいくら可愛い服を着ても、似合う体型じゃないと誰からも羨ましがられない。似合ってないなと思っている。嫌だったら、やせなよ〉

〈今はふらふらで辛くても、苦しい時期を乗り越えたら大丈夫〉〈これまでの我慢と努力が無駄になるから、過食したくても負けるな〉などと煽るツイートが散らばっていた。ユキさんに追い打ちをかける。

「私の努力が足りないせいだ。でも、これ以上どうすればいいんだろう」

どこまでやせればいいのかゴールは見えなかった。そんな「病んでいた」という時期にTwitterで連絡を取ったのが、「無料でダイエットを成功させる」と宣言していた、ある男性「講師」だった。

信用していいのかわからなかったが、思い切って、「お菓子が食べたくなるんです。どうしましょう」とダイレクトメッセージを送った。初めて、他人にアドバイスを直接求めた人だった。とにかく誰かに頼りたかった。

体型に固執しなくなった

結局、ユキさんはこの男性とのやり取りをきっかけにダイエットを止めた。産婦人科に通い、生理の周期を整える女性ホルモン剤「ルトラール」を服用したことで、10ヶ月ぶりに生理がきた。

ダイエット専用のTwitterアカウントを消し、「解放されました」とユキさん。今、体型に固執することはなくなり、大きな一歩を踏み出した、と喜びを噛みしめている。

「私を救ってくれた人」とユキさんが感謝する男性とはどんな人物なのか。BuzzFeed Newsはダイエット”講師”を名乗るこの男性に、直接インタビューした記事「『カリスマと呼ばれたダイエット”講師” 活動した1ヶ月間に起きたこと」を配信している。

また、最終回の記事「『ダイエットにマジックはない』 頑張る女の子たちへ、医師からのメッセージ」は日本摂食障害学会・副理事長で内科医の鈴木眞理さんにインタビューした内容となっている。


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BuzzFeed JapanNews


バズフィード・ジャパン ニュース記者

Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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