「倍、倍、倍で疲れていく。イライラもくる」。千葉の被災者といまの生活。

    「まるで原始時代の生活ですよ」。被災直後、こう語っていた男性の生活のその後。

    台風15号によって、被害に苦しむ千葉県。今も生活がままならない人がいる。

    千葉県館山市布良の庄司一則さん(63)も、その1人だ。被災直後の9月12日、BuzzFeed Newsが現地に入ったとき、彼は自身の生活をこう形容した。

    「まるで原始時代の生活ですよ」

    台風が9月9日に上陸し、10日以上が経ったいま、どう生活は変わったのか。再び彼に会い、話を聞いた。

    Kensuke Seya / BuzzFeed

    被災直後の庄司さんの住宅

    被災直後、市内のところどころで交通信号が消え、停電や断水などの影響で閉店している店舗も多くあった。

    また、多くの家屋で、屋根の瓦が吹き飛ばされていた。屋根ごと持っていかれ、建物の2階部分が丸見えの住宅もあった。

    それから、1週間が経った19日になると、雰囲気が大きく変わっていた。

    電気は通り、営業を再開している飲食店やホームセンターなどが目立つ。車の行列ができていたガソリンスタンドにも、行列はなかった。

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    庄司さんの住宅で、ブルーシート張りをするボランティアたち。

    さらに南下し、庄司さんの住宅のある同市布良に入ると、多くの家屋の屋根にはブルーシートが張られ、応急措置が施されていた。

    庄司さんの住宅も同様だった。屋根の上に複数人が登り、庭先からは他の人たちが指示を出している。ブルーシートを張ろうとしていたのだ。

    5年ほど前、築100年以上の平屋建ての住宅を購入。リフォームして10月にカフェとしてオープンする予定だったという。

    しかし、台風15号による暴風雨が猛威をふるい、人が住めるとは思えないほどの被害を受けた。

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    台所の天井からは光が漏れていた。

    「今日、ブルーシートを張る予定ではなかったが、ボランティアが突然来てくれたんだ」

    助かった、と嬉しそうな表情で庄司さんは話す。

    前日には自衛隊3人が屋根の一部にブルーシートを張ってくれたというが、全ての損壊部分には張ることはできなかった。

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    屋内の天井には、雨漏りによるカビが広がっていた。

    数日前の雨では、雨漏りによって屋内の腐敗がさらに進んでしまった。天井付近にはカビが広がり、臭いもする。

    衣装ケースで雨を貯めているが、それでは間に合わず床には新聞紙が敷かれていた。その新聞紙もびしょ濡れだった。

    「すごかったもん、こないだの雨は。滝のようで。見てくれより、実際は最悪なんだよね」

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    台所に敷かれた新聞紙。びしょ濡れだ。

    このまま雨ざらしの状態にするわけにはいかない。だからこそ、自衛隊員や埼玉県内のNPO経由によるボランティアがブルーシート張ってくれたのは、救いとなった。

    ただし、その作業には命の危険が伴う。

    東京新聞によれば、千葉県内で家屋の修理のために屋根などから転落した事故が相次ぎ、少なくとも3人が死亡、101人が重軽傷を負ったという。

    そのため、庄司さんは時折、心配そうに作業を見つめた。

    「近所の人たちは、個人や知り合い、近所同士でやっているよ。ここは漁師の町だから、力がある人も多いし、助け合いの精神があるから」

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    庄司さんは、近くに暮らす高齢者の手伝いなどを優先してきた。自身の作業は後回しにしてきたため、ゆっくりとしか片付けなどの作業は進められなかったという。

    地域の停電は解消されたが、雨漏りによって電気系統がやられ、明かりを点けることはできない。これまでの生活を取り戻すことができず、疲弊していく。

    「体力もそうだけれど、精神的な疲労もすごいよ。倍、倍、倍で疲れていく。イライラもくるし」

    疲労が蓄積し、顔は少しやつれたように見えた。

    Kensuke Seya / BuzzFeed

    買ったばかりのこの民家は修復を諦め、取り壊す予定だったが、残そうと決意しているという。

    「倒そうと思ったけれど、被害状況もこれなら伝わるじゃない。ある程度きれいにして、このまんまの状態でカフェとして営業を始められたらと思っている」

    県内の瓦屋根の業者に依頼しても、修繕が1年待ちのケースもあるという。そして、取り壊すにも費用がかさむ。

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    雨漏りによる雨を受け止めるための衣装ケース。一度満水になったという。

    だから、倒壊の危険がないのであれば、いまの状態で営業したいとの気持ちもある。

    「地域の人が、休めればいいと思うんです。ここらのお年寄りは行くところがなかなかないじゃん。だから、1人でも2人でも来てくれたらと思って、そのためにやろうと思っている」

    「商売にならないとわかってるよ。地域の憩いの場になればと思ってるだけなんです」

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    カフェの営業開始は冬を目指すという。自身が経営する市内にある別のカフェは21日から営業を再開。

    「せっかく来てくれた人たちがご飯を食べれるとこがなかったら、かわいそうじゃん」。そう語る顔には、少し輝きが戻っていた。